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門別競馬場の風景
馬券の売り上げが好調な一方で…
ホッカイドウ競馬の3歳3冠路線の第一弾「北斗盃」は、昨年まで4月の開幕日に組まれていたが、今年から日程が大幅に変更となり、昨日5月30日に実施された。
昨夜の門別競馬場は、日が落ちるとともに濃霧が発生し、メインレースの時刻が近づくにつれてどんどん濃度を増して行き、視界不良の状態に変わった。ちょうど、今年の開幕日(4月18日)もこんな濃霧だったことを思い出させるようなコンディションになった。
パドックを周回した出走各馬が騎手を背に本馬場に出て、思い思いの返し馬を開始する頃には、競馬場全体がすっぽりと霧の中に包まれた。
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濃霧に覆われたレース直前のスタンド風景
北斗盃は今年で数えて42回目。内回りコースの1600m。1着賞金300万円。副賞としてJBC協会よりダンカークの交配権利が優勝馬の馬主に贈られる。今年は14頭が顔を揃えた。
1番人気は五十嵐冬樹騎手騎乗のサザンヴィグラスで3.0倍だが、以下ビジネスライク3.8倍、クロスウィンド4.0倍と人気は割れ加減で、抜けた存在がいない。頭数も揃い、予想の難しいレースになった。
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サザンヴィグラスのパドック
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サザンヴィグラスのサザンヴィグラスの返し馬
定刻通り、8時40分にゲートが開いた。ゴール板手前200mの地点に設置されたゲートが、濃霧のためにぼんやりとしか視認できないくらいの視界不良である。
スタートすると各馬が一団になってまず目の前を通過して行く。レースを引っ張るのはエアーシャンクス(阪野学騎手)だが、サザンヴィグラスがそれをマークしながら二番手につけ、3〜4コーナーに差し掛かるあたりで難なく交わし、直線に向かってくる。
楽な手ごたえのまま、直線では後続馬をどんどん引き離し、終わってみれば7馬身差の圧勝であった。
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今年の北斗盃はサザンヴィグラスの圧勝
2着は2番人気のビジネスライク(服部茂史騎手)、さらに2馬身差でツルノシン(松井伸也騎手)という着順でゴールした。サザンヴィグラスの強さだけが印象に残るレースであった。
サザンヴィグラスは、その名から連想されるように、父サウスヴィグラス、母スプライトダンス、母の父ダンスインザダークという血統の牡3歳鹿毛。川島洋人厩舎所属。馬主は村山忠弘氏。生産は、日高町(株)カネツ牧場。通算成績は11戦5勝。獲得賞金は1935万円となった。
サザンヴィグラスは、もともと門別デビュー組で、昨年5月23日のフレッシュチャレンジ競走を6馬身差で勝ち上がった後、栄冠賞、ブリーダーズゴールドジュニアCと2歳重賞を連覇。10月31日の北海道2歳優駿で地元勢として最先着の3着と善戦し、その後は南関東に転戦した。
しかし、4戦したものの1勝(川崎、3月1日つばき賞)にとどまり、開幕と同時に再びホッカイドウ競馬に帰厩し、調整を続けてきた。
勝利騎手インタビューで五十嵐冬樹騎手は「冬の南関東遠征では調子を崩して思うような結果を出せなかったが、厩舎スタッフがよく立て直してくれました。返し馬の時から手ごたえがよく、積極的なレースができました」と愛馬の健闘を称えていた。
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北斗盃の口取り
この日の門別競馬場は、3歳3冠のひとつ目となる重賞が組まれていながら、入場人員は、普段と変わらない523人にとどまり、場内は閑散としていた。もともとコースは広くても観客エリアは“キャパ”の小さな競馬場なので、あまり大人数が入場しても混雑するだけとはいえ、3冠レースの日らしい賑わいがもう少し欲しいところだ。
ここ数年、馬券の売り上げは伸び続けてきているものの、この北斗盃の1着賞金は前述の通り、昨年と同じ300万円に据え置かれている。3冠レースとしての権威を高めるためにも、また良質馬を揃えるためにも、まずは賞金の増額が先決であろう。いくらホッカイドウ競馬の売り上げが好調に推移しているとはいっても、今や地方競馬は全国的にどこでも業績が回復しつつあり、よほど思い切った賞金増額をしなければ、有力3歳馬を集めることはできない。
北斗盃は1990年〜1998年には、1着賞金が600万円であった。当時はホッカイドウ競馬が売り上げのピークを記録していた時代だが、もちろん当時と今とでは時代背景も発売方法も異なるとはいえ、やはり300万円ではいかにも寂しい。
ところで、昨日のホッカイドウ競馬は、本場での入場人員こそ普段と変わらずであったが、売り上げは4億7872万円に達した。これは南関が浦和開催であり、ナイター競馬は門別だけであったことに起因する。こういう好条件が揃うと、ネットを中心に今の時代は馬券がかなり売れるのである。
なおホッカイドウ競馬の“ダービー”である北海優駿は、来る6月20日に行なわれる。
サザンヴィグラスには2冠の期待がかかる。