●カイザースクルーン(牡 美浦・相沢郁 父ルーラーシップ、母アイスフォーリス)
母アイスフォーリスはオークス(GI)3着など重賞で再三入着した。本馬はその初子。母方の3代目に並ぶサンデーサイレンスとクロフネは父ルーラーシップと相性が良く、リリーノーブル(18年オークス-GI・2着、17年阪神JF-GI・2着)、ダノンディスタンス(17年京都新聞杯-GII・3着)、ロサグラウカ(新馬-水仙賞を連勝)はこれらを併せ持つ。父ルーラーシップはスピードの持続力が持ち味で、母アイスフォーリスもどちらかといえばワンペース型だった。そのあたりの弱点が伝わることなく、血統に見られる底力あふれる血がモノをいうなら重賞でも楽しみだ。芝向きの中長距離タイプ。
●ドナアトラエンテ(牝 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母ドナブリーニ)
ドナウブルー(12年京都牝馬S-GIII、12年関屋記念-GIII)、ジェンティルドンナ(12、13年ジャパンC-GI、14年ドバイシーマクラシック-G1、14年有馬記念-GI、牝馬三冠)の全妹。この2頭のあと、異父兄弟が2頭、全兄弟が3頭生まれているが、現3歳のヴィルトゥース(1戦1勝)を除きこれといってめぼしい成績を残していない。ただ、本馬はデキがいいと評判だ。サンデーサラブレッドクラブで募集価格7000万円。母はDanzigを経たNorthern Dancer 3×4という好パターン。Alydar、My Bupersを併せ持つのでミッキーアイルに似ており、「Danzig×Alydar」の母の父Bertoliniはサトノダイヤモンドが持つLureと同じ組み合わせ。重賞級の活躍を期待したい。
●ユナカイト(牝 美浦・木村哲也 父ヨハネスブルグ、母フサイチパンドラ)
母フサイチパンドラはエリザベス女王杯(GI)、札幌記念(GII)を勝った名牝。繁殖牝馬としては初子から5番子までJRAで、2勝、1勝、1勝、0勝、1勝という成績で、コンスタントに勝ち上がるものの大物はいなかった。ところが、未登録馬1頭を挟んだ7番子アーモンドアイが桜花賞(GI)、オークス(GI)の二冠を制覇。母の眠っていた力を父ロードカナロアが見事に引き出した。本馬はその半妹。父はヨハネスブルグに替わった。ヨハネスブルグ産駒の活躍馬ホウライアキコとタガノブルグは、母の父がサンデー系で2代母の父がWoodman、という配合的共通点がある。本馬は母の父がサンデーサイレンスで、3代母Sex AppealはWoodmanの母プレイメイトと配合構成が酷似しているので、上記2頭と配合構成が似ている。早い時期から頭角を現し、POG期間中にしっかりと稼ぎそうなスピード馬だ。
●レッドシルヴァーナ(牝 栗東・松田国英 父ロードカナロア、母シルバーフォックス)
フィリーズレビュー(GII)で7着となったレッドシャーロットの全妹。母シルバーフォックスはトリップ(12年ジャパンダートダービー-JpnI・2着、12年弥生賞-GII・2着)の全姉、2代母ビーポジティブはエリザベス女王杯(GI)を勝ったトゥザヴィクトリーの全妹でクイーン賞(GIII・ダ1800m)の勝ち馬、という良血。母方にサンデーサイレンスとNureyevを併せ持つロードカナロア産駒は5頭デビューしてすべて勝ち上がり、そのなかには牝馬二冠を制したアーモンドアイ、2戦2勝のサンラモンバレー、5戦2勝のジョーカナチャンが含まれる。優れた配合構成なので姉以上の活躍を期待したい。距離はマイルが良さそう。
●ロードオヒア(牡 栗東・安田翔伍 父キングカメハメハ、母レディブラッサム)
国内外でGIを6勝し、年度代表馬のみならず最優秀短距離馬に二度選出されたロードカナロア。種牡馬としても非凡な才能を示し、初年度から牝馬二冠馬アーモンドアイ、スプリングS勝ち馬ステルヴィオを出した。本馬はその全弟にあたる。母が20歳時の産駒だが、いまのところロードカナロアの兄弟で競走年齢に達したものは本馬しかいない。それだけに貴重な存在といえる。2代母サラトガデューは北米で11戦8勝、ベルデイムS(G1)、ガゼルH(G1)、カムリーS(G2)などを制覇した名牝。母の父Storm Catは「Northern Dancer+Secretariat」という構成で、キングカメハメハ産駒はこのパターンの血と好相性を示している。ロードカナロアのほかにローズキングダム(ローザネイ)、ベルシャザール(セクレト)、エオリアンハープ(シークレットシェアラー)などが当てはまる。配合的には申し分ないのであとは馬のデキ。兄に迫る存在となることを期待したい。