◆同じGIII戦でも、その背景が異なるレースも
この時期は重賞でもGIII戦が多い。格がものを言うだけでなく、実に様々な可能性が潜んでいるから本当は面白いのだ。エプソムカップもマーメイドステークスも、勝ち馬は初重賞制覇だった。
中で、2億円馬サトノアーサーは言わば善戦マンだったのでようやく期待に応えたということだが、6歳牝馬のアンドリエッテは格上挑戦だったから、その勝因を掘り下げる意味があった。51キロの軽ハンデで思い切ったレースができたのだが、それをする背景があった点をしっかり見据えておきたい。
かつて牝馬の三冠で6,5,4着だったことから、この世代では上位の力があった。なのにまだ3勝しかしていない点、じくじたる思いがあったろう。ならば、ためるだけためてどう動くかやってみようということになっても不思議ではない。低迷から抜け出すための知恵と言える。相手関係が微妙なGIII戦なら、この手が生きることがある。
ユニコーンステークスと函館スプリントステークスは、GIII戦でもその背景が異なる。
ユニコーンステークスからジャパンダートダービーへと向かう路線は、ダート界にとって王道と言ってもいい。まだ未熟な3歳馬がどう力を伸ばしていくか、この東京のマイル戦を出発点として光が見えてくるレースだ。長くいい脚を使えるものが有利だし、それを探したいのは当然だが、前半のペースが速ければ速いほど、直線での力が試される。そういう情況で好走した馬なら、この先のダート界が見えてくると言ってもいい。
2014年に創設された青竜ステークス上位組が最近は走っている。東京のマイル戦、グリムがどう走って勝ったか、そこから類推したい。長くいい脚を使っていたかどうか。端午ステークスは京都の1400米だから、これより1800米の鳳雛(ほうすう)ステークスの方をという見方もできる。さらに中山の伏竜ステークス2着のルヴァンスレーヴもダートは走る。
函館スプリントステークスは、開幕週の洋芝を狙ってきた組、昨年の1,2,3着馬、3年前の勝ち馬などのリピーター、昨夏4連勝していたダイアナヘイローのような馬が、近走に関係なく注目できる。
GIII戦をどう分析するか、考えていきたい。