宝塚記念でクライマックスを迎える春競馬。初GI制覇あり、初ダービー制覇ありと、様々なドラマが生まれた上半期の重賞戦線の中で、「この騎手のこの騎乗がすごい!」とプロが唸ったレースをランキングで発表します。回答するのは騎手、調教師、馬主、記者など、この道のプロ。栗東・美浦から総勢50名の豪華競馬関係者が登場。はたして、ベストレースに輝いたのは!?
(取材=美浦・佐々木祥恵、栗東・大恵陽子)※6/18は「第10位」〜「第5位タイ」までを発表。6/19は「第3位タイ」〜「第1位」までと、番外編を発表します。
第3位タイ◆4票
幸騎手「自分の思い入れもある馬です」
4月29日(日)京都11R天皇賞・春 レインボーライン1着 岩田康誠騎手

▲丸山騎手「まさに立ち回りが見事だったと思います」 (C)netkeiba.com
■幸英明騎手「岩田さんもそうですし、馬もがんばったなって思います。乗せていただいたことのある馬なので、自分の思い入れもありますね。昔、乗せていただいた時にはGIを勝てるとは思っていなかったので、馬もどんどん良くなったんだと思います。
直線の進路の取り方は岩田さんらしいな、と思いました。岩田さんの場合は、考えるより体が反応しているんじゃないでしょうか。考えているうちは上手くいかないのかなって思います。僕なんてまだまだです。レースが終わってから脚元のことがあって残念でしたが、岩田さんのさすがの騎乗と、応えた馬もすごかったなって思います」
■松若風馬騎手「岩田さんらしい競馬だと感じました。インをピッタリと最短距離で回ってきて、あれだけ人気している馬でも内に入れて捌いてくる技術がすごいなぁって鳥肌が立ちましたね。大レースで人気をしていると、どうしても安全策で乗ってしまうのですが」
■丸山元気騎手「岩田騎手が騎乗した天皇賞(春)のレインボーラインです。3200mの長距離戦だと他の条件以上にロスなく競馬をすることが大事になってきますが、あのレースはまさに立ち回りが見事だったと思います。勝負どころから最後の直線も外ではなく、GIでも内を突いていくあたりはさすが岩田さんという騎乗でした」
■斎藤誠調教師「最後の直線ではさすが岩田騎手だなという感じの進路の取り方でしたよね。開いているところ開いているところをうまく突いていますし、改めてさすがだなと思いました」
2018年 天皇賞・春 第3位タイ◆4票
松岡騎手「改めて、敵に回したくない相手」
4月7日(土)阪神11R阪神牝馬S ミスパンテール1着 横山典弘騎手

▲横山武騎手「父の信頼の結晶があの競馬だった」 (C)netkeiba.com
■太宰啓介騎手「ミスパンテールが初めての逃げ。ノリさんのレースは見ていて面白いですよね。型にはめないというか。これまでもミツバのブラジルC(2016年10月23日東京11R)で大逃げして勝った時もすごいなと思いました。ノリさんはすごいですよね、ホント」
■横山武史騎手「ミスパンテールの阪神牝馬Sです。ターコイズSや京都牝馬Sは後ろから差していたので、ここも差す競馬かなと思っていましたが、取ったのは新たな戦法でした。違う競馬を試したくても、調教師や関係者から任されるだけの技術や信頼性がなければ、それをトライするのは難しいことです。父はそれができるだけの信頼をこれまでのキャリアで積み上げてきたのだと思いますし、その信頼の結晶があの競馬だったのではないでしょうか」
■松岡正海騎手「横山典騎手が乗ったミスパンテールの阪神牝馬Sです。これまでの先入観を払拭するような競馬でした。馬のリズムを大事にしながらもレース展開を読むことにも長けていますし、競馬で対決するにあたって敵に回したくない相手だな、と見てて改めて思いました。僕もそういったジョッキーになりたいです」
■西田雄一郎騎手「横山典騎手のミスパンテールです。京都牝馬Sは直線で差し脚を伸ばす競馬で勝ちましたが、次走の阪神牝馬Sでは一転して逃げるレースでした。そのあたりは典さんならではの感性というか、その時の馬場や対戦するメンバーに応じて、競馬が変幻自在という感じです。見ているこちらとしてもとてもワクワクします」