高速馬場に対応、快速系のスピード能力に注目したい/関屋記念
◆平坦コースに適性があるこの馬の牝系
今年は組み合わせと、高速の芝コンディションから、1分32秒0を突破して「1分31秒台後半」の速いタイムの決着になる可能性がある。
「スピード能力、レースの流れ(展開)、負担重量」にいつも以上に注目したい。
芦毛の牝馬エイシンティンクル(父ディープインパクト)は、5歳の今年6月、初めて挑戦した1000万下の芝1600mを1分32秒0で乗り切ってみせた。いつも以上に高速の阪神だったが、先手を奪って先導したレースの流れは「46秒5-45秒5」。上がりは「34秒0」。後半に自身でピッチを上げて1分32秒0は、高速の馬場コンディションを考慮してもフロックではない。開催NO.1がオープンの米子Sの1分31秒9(46秒0-45秒9)だった。
エイシンティンクルの母方に登場する種牡馬は、母の父から順に「ストームキャット…→カロ…→キートゥザミント(祖父リボー)…→シーバード…→ボールドルーラー」。
名馬物語の中のこれらの種牡馬は、平坦のアメリカと、坂の少ないフランスで活躍した馬ばかりという共通がある。
こういう著名種牡馬が続けて配される牝系は当然、活躍馬の多い名門ファミリーであり、日本でもよく知られている。快速系の種牡馬として名高いミスワキを筆頭に、アルゼンチンのサンデーサイレンスとされたサザンヘイロー。皐月賞馬ビンゴガルーなど、ビンゴ一族の父として知られた種牡馬デュール 。
91年の関屋記念を勝ったニフティニース(孫のシンゲンも新潟大賞典勝ち馬)の牝系も、同じ栄進堂の所有馬だったエーシンモアオバー(12勝)の母オレゴンガールもこのファミリーである。
エイシンティンクルの全兄エイシンヒカリ(現在種牡馬)は本物になったあと海外で重賞を2勝した。その2勝は、人気で失速したアスコット(英)に比べれば坂の威力がずいぶん少ないフランスと、坂のない香港だった。
フランスの渋馬場で快走したため、重巧者などと報道されてタフなコンディションのアスコットで人気になったが、本当は快速馬であることを日本のファンは知っていた。
エイシンティンクルは、前回も初めての出走となった格上がりの1600万条件の芝1400mを快勝。それまで逃げ一手に近かったが、好位で折り合って進み、自身「45秒3-35秒5」のバランスで1分20秒8。流れが速ければ折り合い不安が軽減され、好位でレースができることを示したから大変な進境である。
高速の平坦コースに出走するのは今回の新潟が初めてだが、快速系のスピード能力が全開する可能性が高まるだけに大きなプラスだろう。
速くなると予測されると、案外、緩い流れになったりするのがレース展開だが、もしウインガニオン、ショウナンアンセムなどが強気に出ないなら、エイシンティンクル(和田竜二騎手で2戦2勝)には、マイペースの逃げを打てる可能性が生じる。