ツボにはまったら思われている以上に切れるタイプ/サウジアラビアRC
◆前走を楽々と差し切った内容には光るものがあった
2歳戦がスタートした6月3日(第1週2日目)の東京1600mで、新馬戦のコースレコードとなる1分33秒6。レース上がり33秒6「11秒3-11秒1-11秒2」の高速決着を、先行して上がり33秒5で抜け出したグランアレグリア(父ディープインパクト)が、再鍛錬のオーバーホールを終えて出走する。
来季のビッグレースを展望しながらの2歳戦にはさまざまな考え方(流儀)や、育成牧場と連携の試行(挑戦)がある。近年は6月の最初から新馬戦が組まれ、「日本ダービー」はちょうど1年後。世代交代の回転が早くなる傾向もあるだけに、さまざまなローテーションが成立する。
2歳戦が行われるようになった1946年以降、牝馬では札幌(公営)で5月9にデビューしたアローキャリーがJRAに移り、2002年の桜花賞を勝った記録がある。
牡馬では、2013年に6月2日(開催2日目)の新馬を勝ったイスラボニータ(父フジキセキ)が近年では目立って早いデビューの皐月賞馬となったが、「日本ダービー」は1946年以降、1978年の6月25日に札幌でデビューしたサクラショウリ(父パーソロン)が、もっとも早いデビューの勝ち馬になる。
グランアレグリアの大展望も当然、来季のビッグレースであり、このまま突き進んで最も早いデビューのダービー馬となれるだろうか。同じ藤沢和雄厩舎のレイデオロは10月9日デビューで、2歳時は3戦【3-0-0-0】だった。
そのグランアレグリア(母タピッツフライ、その父タピット)は、衆目一致の良血馬。全弟1歳馬の募集価格は、たしか1億5千万円だった(?)。この注目馬が新馬戦と同じレースを展開するなら、ライバルはまず歯が立ちそうにないが、早期デビューで4カ月ぶりのレース。間隔を取りつつの出走なので、デビュー戦と同じで「そんなに強い調教をし、ムリの生じるような仕上げにする理由がない」
秘める能力に疑問はないものの、付け入るスキがないわけでもない。かなりムリな狙いは承知で、ここが3戦目になるセグレドスペリオル(父トーセンホマレボシ)を買いたい。新馬はダッシュ一歩で、上がり最速の34秒9で突っ込みながらエルモンストロの小差2着。9月の2戦目は明らかな出遅れだったが、川又騎手は慌てることなくゆっくり最後方追走。直線だけ外に出て、楽々と差し切った内容には光るものがあった。大物とか、スケールというタイプではないが、ツボにはまったら思われている以上に切れるタイプだろう。
母の父がネオユニヴァースなので、トーセンホマレボシ(その父ディープインパクト)産駒のこの馬はサンデーサイレンスの「3×3」。時おり大駆けするタイプに育つだろう。グランアレグリアと、モレイラ騎手を配してきたドラウプニルとの三つ巴本戦。