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ベストの距離で、復活の絶好のチャンス/京都大賞典

  • 2018年10月07日(日) 18時00分
◆この一戦にかける意気込みは大きい

 日曜日に行われた「毎日王冠」と同じように1着馬に天皇賞(秋)の優先出走権が与えられるが、人気上位馬はこのあと「ジャパンC」に直行する可能性が高い。昨年3着のシュヴァルグランも、16年に1着のキタサンブラックも、ジャパンCに直行して勝っている。

 そのシュヴァルグラン(父ハーツクライ)は、3着だった昨年より負担重量1キロ増だけなので、凡走はありえないが、ベテランになってさらにズブくなった感もある。2分23秒1の自己最高タイムで乗り切りながら、3着だった昨年と同じような結果になる危険はあるだろう。

 といって、ライバルのほとんども休み明け。みんな1着になってぜひ天皇賞(秋)の優先出走権が欲しいという立場でもないから、ふつうに考えれば上位数頭のレースだが、主軸を決めにくい。

 大スランプが続いているが、追い切りの動きに「気力」が戻ったサトノダイヤモンド(父ディープインパクト)の復活に期待したい。早くから活躍し、菊花賞を制し有馬記念も勝ったピークの3歳時に、活力のほとんどを使ってしまったのではないか? という厳しい見方もあるが、2000-2400mの少し短めの中距離路線なら、まだまだ活躍できそうに思える。

 不振に陥った出発は、4歳秋の凱旋門賞の15着惨敗からではなく、その前の天皇賞(春)で苦しくなって失速し、キタサンブラック、シュヴァルグランの3着に沈んだレースだった気がする。あれは完全なスタミナ切れに近かった。菊花賞は3歳馬同士、必ずしもステイヤーではなくとも3000mを乗り切れることが多い。

 だが、古馬になっての3200mの天皇賞(春)は、単なる1ハロンの延長ではない。力尽きて最後に鈍ったサトノダイヤモンドの失意は大きかった。

 秋にフランスに遠征して、完敗の4着と、15着。心身の落ち込みは大きく、これで完全なスランプに陥った。

 帰ってオーバーホールし、この春に再出発したものの、心身の落ち込みを脱するには、結果として、十分な休養ではなかったかもしれない。

 この夏の休養、立て直しでスランプ脱出に成功するとは限らないが、今回は調教の動きうんぬんではなく、がんばろうとする気力が戻ったように思える。周囲に与える雰囲気が良くなっている。スローの2400mなら、スタミナは問われない。得意の京都【3-0-1-0】でもある。

 ライバルより、この一戦にかける意気込みも、このレースが持つ意味も大きい。サトノダイヤモンドのベストの距離は、思われているより短く、2000-2400mではないかという印象が強いので、実質2000mくらいのレースになりそうなここは、復活の絶好のチャンスだろう。

 伏兵陣では、すっかり順調さを取り戻した4歳ブレスジャーニー(父バトルプラン)の巻き返しに注目したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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