▲種牡馬になっても大活躍のロードカナロアを特集!(撮影:J.Fukuda)
中央競馬の発展に特に貢献した競走馬が選出されるJRA顕彰馬。今年はロードカナロアが選出されました!これを祝して、ロードカナロアを3週にわたって特集します!最終回となる今回は、現在繋養されている社台スタリオンステーションより、ロードカナロアを担当している福田将己さんからのメッセージをご紹介します。
社台スタリオンステーション 福田将己さん
ロードカナロアさんへ
カナロア、顕彰馬への選出おめでとう。
産駒達の活躍が強い後押しになっての栄誉で本当に嬉しかったです。
カナロアの第一印象は肩やお尻が筋肉隆々だけど、真ん丸とした瞳と幼い顔付きで女の子のような雰囲気が印象的でした。うちに来てすぐに環境にも慣れて、どっしりと落ち着いてましたね。海外でも結果を残せたのは環境の変化に動じない、落ち着いた気性だからこそなんだろうね。
普段も優等生で種牡馬らしい気性の激しさは全く無く、女の子でも扱えるほど大人しいので、全く苦労した記憶が無いなぁ(笑)。でも種付けなどでスイッチが入った時の力強さは抑えきれないほどのパワーで、そのギャップには驚かされるけど。
馬房で休むポジションやちょっとした仕草や行動が、お父さんのキングカメハメハにそっくりなのに気付いた時は見ていて面白かったです。
「産駒は距離がもたない」と言われる事もあったけど「配合次第では2000m、2400mでも活躍してくれる産駒が絶対に出てくる」と信じてた。だからこそアーモンドアイがオークスを勝った事は格別に嬉しかったです。
いつの日かお父さんを越えて日本の大種牡馬になれるようこれからもサポートしていきます。
カナロアこれからもよろしくね!
▲福田さんとロードカナロア(提供:社台スタリオンステーション)
パパになったロードカナロアは
初年度から重賞馬を輩出しているロードカナロアですが、なんと今年度の種付け頭数は294頭!これは繋養先の社台スタリオンステーションの過去最高記録であり、さらに国内種付け数の最多記録となりました。種牡馬としての仕事ぶりも、問題なく順調で何も困ったことがないといいます。
そんなタフな“種牡馬ロードカナロア”について、社台スタリオンステーションの三輪圭祐さんにお話を伺いました。
▲現役引退後は国内種付け数のレコードを叩き出した(提供:社台スタリオンステーション)
スプリンターは気性の荒い、激しい馬が多いイメージですが、安田厩舎の方々から「女の子みたい」「怖がり」岩田騎手から「おっとりしている」という声があがったように、普段はとてもおとなしい性格で、目立った問題も何もなく「特別な記憶が残らないのが特徴」なんだそう。
仕事の時には程よく燃え上がるタイプで、体調にも波が無いそうです。このメリハリの効いた性格は、お父さん(キングカメハメハ)譲り。このスプリンターらしからぬ穏やかな気性が、ピークが短いといわれる短距離界で長く活躍できたひとつの要因なのでしょう。
そして、種牡馬としての最大の強みは、やはり“サンデーサイレンスの血を持っていない”こと。
ロードカナロア産駒は、現代競馬に求められるスプリント力と仕上がりの早さに加えて、成長力も兼ね備えており、さらに産駒が総じて大人しいそうです。とにかく誰でも扱いやすいというのも良い競走馬に育つためのセールスポイントなのだとか。
▲産駒のアーモンドアイは「穏やかに折り合いながらも激しく末脚を繰り出すところ」がロードカナロアに似ているそう(撮影:下野雄規)
当然、リーディングの頂点に立つようなポジションになることも期待されています。
産駒の距離適性については「マイルから2000mがベストだろうと思います。ただ、配合や相手関係などにより、長い距離に対応できる馬が出てくるのは全く不思議ではないです」とのこと。
安田調教師から「天皇賞・秋で見てみたかった」という言葉もありましたが、出走していないだけで、実はもっと長い距離もこなせたのではないか、という声もよく耳にしますよね。まだまだ2世代目の産駒たちがデビューし始めたばかり。これからどんな産駒たちが登場するのかたのしみです。
この度は顕彰馬選出おめでとうございました。
(了)