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▲JBCクラシックに出走するケイティブレイブを担当する房野陽介調教助手
史上初めてJRA場で開催されることになったJBC。JpnI 2勝のケイティブレイブがJBCクラシック制覇を目指します。同馬を担当するのは房野陽介調教助手。「どんどん良くなっている」というケイティブレイブの現状、そして7年前の悔しさからGI/JpnIにかける彼の思いとは。
マッサージを取り入れて馬は良くなったのに…
前走・日本テレビ盃(JpnII)でケイティブレイブが58kgを背負って優勝後、房野助手を訪ねると
「毎日見ていても『良くなった!』って感じるんです」
と笑顔で話しました。
すでにダートグレード競走を8勝している5歳馬。しかし、
「今年の春から担当していますが、すでに6月の帝王賞(2着)のデキを超えているなって感じるんです。それでもまだ70%くらい。もっと伸びると思うんです」
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▲「毎日見ていても、良くなった!って感じるんです」
そう自信を持って言えるのは、彼自身がGIの舞台で挫折を味わったからでしょう。
遡ること7年。それは2011年の天皇賞・春でした。
当時、福島信晴厩舎に在籍していた房野助手はナムラクレセントを担当。菊花賞3着、前年の天皇賞・春4着、そして前哨戦・阪神大賞典で重賞初制覇を遂げ、満を持してのGI出走でした。
「阪神大賞典を勝った後、みるみる馬が良くなっていったんですよね」
それまでは気難しい面のある馬で、調教で坂路入りをゴネたり、馬房では噛みつこうとする気の強さがあったといいます。
「マッサージを取り入れると、馬房で旋回しなくなったんです。それまで痛かったところがマシになったのかな。馬体もパッツパツで一番デキが良かったんです」
ところが、大きな期待はスタートで落胆へと変わりました。先行して阪神大賞典を勝った同馬が出遅れ。2周目向正面でまくっていくも、直線でヒルノダムールに差されて3着でした。過去最高のデキでGI制覇を夢見て、手が届きかけたところでこぼれ落ちていきました。その後、ナムラクレセントは勝ち星を挙げられぬまま地方へ移籍。また、房野助手自身もそれから何年も担当馬で勝利できない日々が続きました。
「あの時のミスは、僕が大まかなメソッドしか分かっていなくて、本当の意味を理解できていなかったことだと思うんです。たとえば、『坂路2本乗ればいい』みたいな表面的なものしか見られていませんでした。マッサージを取り入れて確かに良くはなったけど、そもそもマッサージが必要な時点でダメなんですよね。どこか悪い部分があるということなんで」
バレエで肉体改造
馬に乗る調教助手もアスリートであるべし、という考えから房野助手もトレーニングに励みました。
「最初はヨガを習いました。体幹を鍛えることに興味があったんですが、『それならいい先生がいる』と、ヨガの先生からの紹介でバレエにも行ったんです。そこで腰が痛いことを伝えると『腰が痛くなる使い方をしているからでしょ』と言われたんです。冷静に考えればその通りなんですけど、目からうろこでした」
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▲バレエのレッスンによって柔軟性がアップ!
普段から体をしっかり使えていればマッサージは不要だと考え、バレエで柔軟性や体幹を鍛えました。またボルダリングや自転車などいろんなスポーツもトレーニングの一環で楽しみ、体はボリュームアップしました。
今年2月、福島厩舎解散により杉山晴紀厩舎に移籍。同じく目野哲也厩舎解散でやってきたのがケイティブレイブでした。
「ケイティブレイブとは調教でケンカもしますが、行きたい気持ちを我慢させてブレーキコントロールをした方が、レースで楽になると思うんです。以前より少し中身が詰まってきた感じがしますし、お尻のハリがいいんですよ。これだけ重賞タイトルを獲ってきた馬なので、これからの目標はJRA場でのGI制覇。今まで輸送競馬だったのが今回、近場の京都になってどうかですが、状態はいいですよ。
ナムラクレセントの時は『GIに出られて嬉しいわ〜勝てたら嬉しいな〜』でしたが、ケイティブレイブは目野厩舎から引き継いだ馬。そのレベルを維持しないといけないですし、GIを勝つ力があるのは成績からも分かっているので、勝たせないといけないという義務感ですね」
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▲房野助手とともに日々ステップアップしていくケイティブレイブ
7年前、悔しさを味わった京都競馬場で、新たなパートナーとともに勝利の喜びを味わえることを願っています。