▲デビュー4戦目での菊花賞制覇は歴代最少記録(C)netkeiba.com
平成最後の菊花賞は、7番人気フィエールマンが差し切り勝利。重賞3連勝中のC.ルメール騎手の手綱で、17年ぶりに関東所属の菊花賞馬が誕生しました。京都3000mという特殊な舞台で、予想外のスローペースのなか光った上位3騎手の隠れた技術とは? 3着ユーキャンスマイルの武豊騎手を中心に、上位3騎手の騎乗を振り返ります。(構成:赤見千尋)
“スタートが普通に出る”にも見えない技あり
菊花賞はキャリア4戦のフィエールマンがエタリオウの内から伸びて勝利。わずかにハナ差の決着で、とても見ごたえのあるレースでした。
フィエールマンにはデビューからずっと注目していて、この世代の男馬の中でもトップ3に入る力のある馬だと思っていましたが、これまではゲートをゆっくり出て後ろから行くという競馬が続いていました。菊花賞のレース前も「ゲートが(速く)出ないから後ろの方からの競馬になるだろう」という厩舎陣営のコメントもあったように、『後ろから競馬をする』というのが大方の予想だったと思います。
しかし予想に反してゲートを出て、中団前目の位置で競馬をした。みんなが出ないと思っているところをGIの舞台で普通に出してしまうところにクリストフのすごさを感じます。ものすごく速く出たわけではないけれど、五分くらいのスタートで、戦いやすいポジションを取りやすいくらいには出た。この『スタートが普通に出る』というところに、クリストフの隠れた技術、見えない技術があると思います。
■10月21日 菊花賞(12番:フィエールマン)
今回、前に行きたいと言っていた3頭がいて、それらがやり合って速くなるのか、それともけん制し合って逆にスローになるのか、ゲートが開いてみないとわからない状況でしたが、それでもこのメンバーでこの枠の並びならば速くなるのでは、と言う風に読んでいたジョッキーは多かったと思います。それが、思いの外スローになった。この展開は内枠の馬、特に人気になっていた謙くんにとっては難しい展開になってしまったのではないかと。
クリストフはスローになって内側の馬がそういう状況になったところ、