日本産馬サクソンウォリアーの種付料は…
来春の種付けシーズンまで3か月ほどとなり、欧州各国の種牡馬繋養牧場から続々と来季の種付け料の公示が行われている。
種付け料を公示している欧州繋養種牡馬では最高額のドゥバウィ(父ドバイミレニアム)は、来年も今年と同額の25万ポンド(約3824万円)と発表された。
2018年も、ドバイ、ドイツ、オーストラリアの3か国でG1を制したベンバトル(牡4)、ドバイでG1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3(d2000m)を制したノースアメリカ(セン6)、イギリスでG1ナッソーS(芝9F192y)、フランスでG1オペラ賞(芝2000m)を制したワイルドイリュージョン、フランスでG1ヴェルメイユ賞(芝2400m)を制したカイトサーフ、そして2歳世代から、G1デユーハーストS(芝7F)を含めて4戦4勝のトゥーダーンホット、G1ナショナルS(芝7F)を含めて3戦3勝のクオルト(牡2)が出現。相変わらず、路面や地域を選ばぬ縦横無尽の活躍を続けており、最高額の維持も妥当なところと言えそうだ。
ドゥバウィと同じニューマーケットのダルハムホールスタッドで、2019年に種牡馬入りするクラックスマン(父フランケル)の種付け料は、2万5千ポンド(約382万円)となった。
現役時代は11戦し、4つのG1を含む8勝。ことに、2年連続で制したアスコットのG1チャンピオンS(芝9F212y)は、いずれも後続に大きな差をつけ、130という高いレイティングを獲得するなど、極めて高い能力を示した競走馬であった。
なおかつ、怪物フランケルにとって初めての大物後継馬という魅力が加わるのがクラックスマンだ。同じダーレーで2016年に種牡馬入りしたG1・4勝馬ゴールデンホーン(父ケイプクロス)の、初年度の種付け料が6万ポンドだったのに比べると、かなりお得感のある価格設定となっている。
また、同じく2019年からダーレーで種牡馬入りする、2017年の欧州スプリントチャンピオンのハリーエンジェル(父ダークエンジェル)は、2万ポンド(約306万円)という種付け料が設定された。
種付け料が公示されている種牡馬では欧州第2位のフランケル(父ガリレオ)も、今年と同額の17万5千ポンド(約2677万円)と発表された。
2018年も、初念度産駒のクラックスマン(牡4)がG1ガネイ賞(芝2100m)、G1コロネーションC(芝12F6y)、G1チャンピオンSと3つのG1を制した他、ゴールザウィンド(牡4)がG1カドラン賞(芝4000m)を、そして日本でモズアコット(牡4)がG1安田記念(芝1600m)を制覇。2世代目の産駒となる3歳世代からは、G1セントジェームスパレスS(芝7F213y)を制したウィズアウトパロール(牡3)、G1愛ダービー(芝12F)2着のロストロポーヴィチ(牡3)らが出現。そして第3世代の2歳にも、G1BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝8F)2着のイースト(牝2)らがおり、フランケルは完全に欧州における主力サイヤーとしての地位を固めた感がある。
フランケルと同じジャドモント繋養馬では、昨年まで5万5千ポンドだったキングマン(父インヴィンシブルスピリット)が、2019年は7万5千ポンド(約1147万円)に上がることになった。
今年デビューした初年度産駒から、ロイヤルアスコットのG2コヴェントリーS(芝6F)を含めて2戦2勝のカリークス(牡2)、デビュー2戦目から3連勝でニューマーケットのG3オータムS(芝8F)を制したパーシアンキング(牡2)と、2頭の重賞勝ち馬が出現。イギリスとアイルランドのフレッシュマンサイヤー・ランキングの第2位につけることになった。
前記2頭以外にも、11月1日にニューキャッスルのメイドン(AW8F)を3,3/4馬身差で制しデビュー勝ちしたヘッドマン(牡2)という逸材も登場しており、次世代のリーディングサイヤー候補として注目を集めている。
そのジャドモントで2019年から種牡馬入りする、2018年のG1BCマイル(芝8F)勝ち馬エキスパートアイ(父アクラメーション)は、2万ポンド(約306万円)という種付け料が設定された。
その他の高額種牡馬では、アイルランドのギルタウンスタッドで供用されているシーザスターズ(父ケイプクロス)が、今季と同額の13万5千ユーロ(約1770万円)と発表されている。同馬は2018年、G1ゴールドC(芝19F210y)、G1グッドウッドC(芝16F)という2つのG1を含む5重賞を制したストラディヴァリウス(牡4)や、G1愛オークス(芝12F)とG1ヨークシャーオークス(芝11F188y)を制したシーオヴクラス(牝3)らを送り出している。
同じくアイルランドのナショナルスタッドで供用されているインヴィンシブルスピリット(父グリーンデザート)も、前年から据え置きの12万ユーロ(約1573万円)となった。同馬は2018年、ロイヤルアスコットのG1コモンウェルスC(芝6F)を制したエクティダール(牡3)、G1フューチュリティトロフィー(旧称レイシングポストトロフィー、芝8F)を制したマグナグレシア(牡2)、G1クリテリウムインターナショナル(芝1400m)勝ち馬ロイヤルミーティング(牡2)らを送り出している。
価格が上昇した種牡馬を挙げると、2018年にG1仏オークス(芝2100m)、G1サンチャリオットS(芝8F)など4つのG1を制したローレンズ(牝3)を送り出した、ボネヴァル牧場供用のシユーニ(父ピヴォタル)が、前年の7万5千ユーロから、2019年は10万ユーロ(約1311万円)に。
2018年にデビューした初年度産駒から、G1ミドルパークS(芝6F)勝ち馬テンソヴリンズ(牡2)や、G2リッチモンドS(芝6F)勝ち馬ランドフォース(牡2)らが出現し、イギリスとアイルランドのフレッシュマンサイヤー・ランキングで首位に立った、クールモア供用種牡馬ノーネイネヴァー(父スキャットダディ)が、前年の2万5千ユーロから2019年は一気に10万ユーロ(約1311万円)にジャンプアップすることになった。
クールモアで供用されているリーディングサイヤーのガリレオ(父サドラーズウェルズ)は、相変わらず種付け料を公開していない。
そして、そのクールモアで2019年から種牡馬入りする日本産馬サクソンウォリアー(父ディープインパクト)の種付け料は、3万ユーロ(約393万円)に設定された。2歳時のG1レイシングポストトロフィー(芝8F)、3歳時のG1二千ギニー(8F)と、獲得したタイトルは2つにとどまっただけに、例えば、2016年にクールモアで種牡馬入りしたG1・4勝馬グレンイーグルス(父ガリレオ)の6万ユーロに比べると、かなり安く抑えられている。だが、2018年に同じくクールモアで種牡馬入りしたG1・4勝馬チャーチル(父ガリレオ)の3万5千ユーロとはそれほど差がなく、繋養牧場としても大きな期待を寄せていることがよくわかる。手厚いサポートを受け、種牡馬として成功し、ヨーロッパにディープインパクト系というサイヤーラインを築く礎になってほしいと切に願っている。