スマートフォン版へ

三冠牝馬と古牡馬の対決に注目のジャパンカップ

  • 2018年11月23日(金) 18時00分

消耗戦でスタミナを要求された場合には…


 アーモンドアイが一気に古牡馬を撃破するかどうかが注目のジャパンカップ。ここ10年の牝馬成績が良いレースだし、牡馬勢に完璧な成績で来ている馬がいるわけでもないので、あっさり勝ってしまっても不思議はないように見える。特にスローからの上がり勝負になった場合はこの馬の強みが生きそう。

 逆に、消耗戦で距離の額面以上のスタミナを要求された場合には隙が生じるかもしれない。オークスのときは前半を積極的に進めたぶん最後がぎりぎりになっていた。あれが手前の問題でなくスタミナの問題だとしたら、2400mはイメージ以上にぎりぎりのところかもしれない。

 2番人気はスワーヴリチャードだろうか。天皇賞秋での負けはスタートがすべてなので言い訳はできる。東京芝2400mもベストの条件があるし、中山では消化不良の競馬になりがちなので、有馬記念よりもここで決めたいところ。あとはデータ的な問題だけで、前走2ケタ着順からの日本調教馬優勝は過去にない(外国馬は1頭)。それを覆せるか。

 サトノダイヤモンドにも2番人気の可能性はある。前走京都大賞典は久々の勝利。勢いをつけて本番に臨めるのはとにかくよいこと。京都→東京のコース替わりはこの馬にとってプラスではないかもしれないが、ダービー僅差2着があるのだからマイナスとも言えまい。アーモンドアイが苦しむようなスタミナ寄りの展開になったらこの馬の出番かと考える。

 キセキは逃げ馬不在の天皇賞秋でうまく展開を自分のものとした。今回はウインテンダネスがいるので逃げはないだろうが、行かせて番手からうまく運べば、再び好走の可能性は十分。ここ2走を見る限り、香港ヴァーズから引きずっていた不調は完全に払拭されたように見える。

 シュヴァルグランは前走内容が案外。昨年も京都大賞典3着からの優勝だったので心配ないのかもしれないが、ひとつ歳をとってひとつ前走着順が悪くなっているのは心配といえば心配。昨年は枠順を生かしたが、今年は普通の枠に入ってしまった。浮上があるとしたら消耗戦になった場合で、アーモンドアイよりはサトノダイヤモンドとセットになりやすいかと思う。

 カプリは大きいタイトルを持つ馬が来てくれたことに感謝したいし、今後のJCを考えると好走してほしいのだが、11年間外国馬の3着以内無しという状況、また本馬の秋の成績を考えると馬券の対象にできるかは微妙。アーモンドアイから入る人はここまで手を回すよりも点数を抑えることに意識を回し、穴馬から入る人は万が一のヒモ抜けを防ぐために本馬にも△を、というところだろうか。

 サンダリングブルーは正直厳しいだろう。輸送慣れしている点はよいが、正直格負けの感はある。前々走→前走と全く同じ着順で来たモアズウェルズが13着だったし、掲示板があれば相当に上々かと思う。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング