4連覇を狙うチャンピオンに死角はあるのか?/ステイヤーズS
3連覇を共にしたR.ムーア騎手は今回騎乗できないが…
4歳時の2015年から、平地最長距離重賞3600mのステイヤーズSに出走し、ここまで「1・1・1」着のアルバート(父アドマイヤドン)が、期待通りに今年も出走する。今年はもう7歳の暮れ。タフな長距離チャンピオンとはいえ、大丈夫だろうか。
JRAでタフな名馬というなら、この3600mに4歳暮れから「2・4・8・4・不・3・1・3」着。計7回も出走し、8番人気で10歳時に勝ったトウカイトリック(父エルコンドルパサー)が代表格の1頭。
トウカイトリックは、距離3000mの阪神大賞典と、3200mの天皇賞(春)の両レースに、06年の4歳時から11歳時まで、「8年もセットで連続出走」した記録がある。同馬からすると7歳アルバートなどまだ幼子扱いだろう。
アルバートの場合、韓国に輸出された父アドマイヤドンもタフだった。統一重賞JBCクラシックを3年連続して勝った記録があり、その父ティンバーカントリー(父ウッドマン)もきわめて丈夫。ドバイへの単年供用も含み、合計20年間も(23歳まで)種牡馬として産駒を送り続けた記録がある。もっとも、ティンバーカントリーの母フォールアスペンからして驚くほどタフな繁殖牝馬の代表であり、14頭の産駒のうち8頭もGレースを勝っている。
アルバートは属するファミリーもタフなタイプを送ることでは定評があり、今年種牡馬入りしたレインボーラインも代をさかのぼると、この牝系の現代の日本の代表馬になる。
アルバートに死角ありとすれば、このところ年に5走がパターンだったのに、7歳の今年はここが6戦目になること。また、3連勝はすべてR.ムーア騎手とのコンビだったが、R.ムーアは日程の都合がつかなかったのか、今回騎乗するモレイラ騎手との受け入れ厩舎(優先的な騎乗馬)の関係などもあったのだろう。短期免許の期間は短く、アルバートの記録にも興味を示さなかったことか。
モレイラなら、ふつうは鞍上に不安が生じることなどないが、ムーアとのコンビの3連勝は、3分45秒9(自身の上がり35秒0)、3分47秒4(上がり35秒0)、3分43秒0(上がり34秒9)であり、馬場差やペースの違いはあるが、3度目の昨年がもっとも強かった。
パンチあふれる底力のステイヤーがごく少なくなった現在、1994年のエアダブリンのレコード「3分41秒6」にもっとも接近したのが、昨17年の3分43秒0である。改めて3600mはただ折り合って追走すればいいのではなく、ムーアでさえアルバートの最高の良さを引き出すのは簡単ではなかったことに気がついた(16年は動くタイミングが悪く、前出の一番遅い時計でクビ差の辛勝だった)。アルバートとモレイラはここまで【1-0-1-0】。まず、大丈夫だが。
今年は、フェイムゲームなどのいた昨年より明らかに相手メンバーのレベルは高くない。相手妙味はヴォージュ、モンドインテロか。