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仏2歳牡馬チャンピオンを兄に持つ外国産馬ユニコーンライオン

  • 2018年12月19日(水) 12時00分
●アルデンテ(牝 栗東・河内洋 父エンパイアメーカー、母イタリアンレッド)

 母イタリアンレッドは5歳夏に七夕賞(GIII)、小倉記念(GIII)、府中牝馬S(GII)と重賞を3連勝した。ネオユニヴァースの代表産駒であるヴィクトワールピサ、ロジユニヴァースと同じく母方にLorenzaccioを持つという配合的なセールスポイントがある。これまでにデビューした産駒3頭のうち勝ち上がったのはバレーノロッソ(父ノヴェリスト)しかいないが、「母の父ネオユニヴァース」はルヴァンスレーヴやアエロリットのような大物が出ているので注目したい。

 父エンパイアメーカーは現役時代、ベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても大成功。12年の米サイアーランキングで2位となった。日本でも基本的にはダート向きだが、エテルナミノル、カイザーバル、ナムラアンなどトップクラスの牝馬は芝向きなので、本馬もそうしたタイプになる可能性がある。距離は1800〜2000mあたりが良さそうだ。

●ウインセルリアン(牝 美浦・上原博之 父オルフェーヴル、母コスモチェーロ)

 母コスモチェーロは現役時代に芝1勝。繁殖成績は上々で、ウインマーレライ(父マツリダゴッホ)がラジオNIKKEI賞(GIII)を勝ったほか、マイネヒメル(父ロージズインメイ/準OP)、ウインヴォラーレ(父ステイゴールド/現1000万下)、イペルラーニオ(父ディープインパクト/現500万下)など、JRAでデビューした4頭がすべて勝ち上がっている。

 本馬の父はオルフェーヴル。初年度産駒からエポカドーロ(18年皐月賞-GI)、ラッキーライラック(17年阪神JFーGI)、ロックディスタウン(17年札幌2歳S-GIII)を送り出しており、これらはいずれも母方にMr.Prospectorを持っている。本馬はこのパターン。芝向きの中距離タイプ。

●カフェクラウン(牡 美浦・堀宣行 父Mineshaft、母Two Trail Sioux)

 母Two Trail Siouxは現役時代、フルールドリスH(米G2・ダ9f)を勝ったほか、パーソナルエンスンH(米G1・ダ10f)で3着となった。繁殖牝馬としても上々で、これまでに重賞で活躍した大物はいないものの、産駒たちはコンスタントに走っており、獲得賞金額はそれぞれ37万ドル、21万ドル、13万ドルが2頭、7万ドルとよく稼いでいる。

 本馬の父はMineshaft。現役時代はジョッキークラブGC(米G1・ダ10f)などG1を勝ちまくって米年度代表馬となり、種牡馬としてはDialed In(11年フロリダダービー-米G1)、Discreetly Mine(10年キングズビショップS-米G1)、It's Tricky(11年エイコーンS-米G1、11年CCAオークス-米G1)などのG1ホースを出している。日本における代表産駒はピーターパンS(米G2・ダ9f)を勝ちフェブラリーS(GI)で2着となったカジノドライヴ。A.P.Indy系のダート血統なので、本馬はダート中距離で活躍しそうだ。

●クードメイトル(牝 栗東・高野友和 父ヴィクトワールピサ、母ドリームオブジェニー)

 皐月賞(GI)7着馬ナムラシングンの全妹、フラワーC(GIII)を勝ったファンディーナ(父ディープインパクト)の半妹。母ドリームオブジェニーは不出走だが、仏2歳牝馬チャンピオンに輝いたCoup de Genieの孫にあたる。Coup de Genieは名種牡馬Machiavellianの全妹で、その娘に仏2歳牝馬チャンピオンのDenebola、アメリカで3つの重賞を制したSnake Mountainがいる。ドリームオブジェニーの母GliaはSnake Mountainの全妹。血統的に筋が通っている。

 母の父Pivotalは現役時代にナンソープS(英G1・芝5f)を制し、種牡馬としても自身に似たスピードタイプを送り出して成功を収めた。母の父としてはさらに素晴らしく、英愛ブルードメアサイアーランキングでは毎年上位を争う存在となっている。本馬はMachiavellian=Coup de Genie 3×3という鮮やかな全兄妹クロスを持っている。母方にMachiavellianを持つネオユニヴァース産駒はヴィクトワールピサの他にダービー馬ロジユニヴァースがいるので、Machiavellianを強化した配合はおもしろい。全兄ナムラシングン以上の活躍を期待したい。

●ユニコーンライオン(牡 栗東・矢作芳人 父No Nay Never、母Muravka)

 モルニ賞(仏G1・芝6f)、コヴェントリーS(英G2・芝6f)を勝って仏2歳牡馬チャンピオンとなったThe Wow Signal(父Starspangledbanner)の半弟。父No Nay Neverは名種牡馬Scat Daddyの後継種牡馬で、現2歳世代が初年度産駒。現役時代にモルニ賞(仏G1)など3つの重賞を勝ったほか、ブリーダーズCターフスプリント(米G1・芝6.5f)で2着となった。

 初年度産駒からTen Sovereigns(18年ミドルパークS-英G1)、Land Force(18年リッチモンドS-英G2)などを出して英愛ファーストシーズンサイアーランキングで首位となった。スピードが持ち味で勝ち上がりもいい。本馬は仏2歳牡馬チャンピオンを兄に持ち、父が期待の若手種牡馬という血統背景から考えて、高確率で走ってきそうだ。芝向きのスプリンター〜マイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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