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クリスマス明けの「ボクシング・デイ」 数々のG1が開催

  • 2018年12月26日(水) 12時00分

絶対王者 ブーヴェールデールがクリスマスハードルに出走


 1年を通じて連日、国内のどこかの競馬場で開催が行われている欧米で、唯一の例外となっているのがクリスマスだ。アメリカでは12月の24日と25日、イギリスやアイルランドだと23日、24日、25日と、競馬のない「ノー・レーシング・デー」が続くことになる。

 その穴埋めをするわけでもないのだろうが、「ボクシング・デイ」と称される休日の12月26日には、欧米ともにおびただしい数の競馬開催があり、競馬ファンは溜め込んでいたエネルギーを一気に放出することになる。用意されているカードも実に興味深く、競馬ファンにとっては堪らない1日となるのだ。例えば、日本時間の今夜に英国のケンプトン競馬場で行われる開催は、G1のダブルヘッダーとなっている。

 日本時間の23時30分(現地14時30分)にスタートするのが、ハードル2マイル路線の基幹競走であるG1クリスマスハードル(芝16F)だ。今年の出走頭数は、わずかに5頭。というのもここに、この路線の絶対王者ブーヴェールデール(セン7、父クリヨン)が出走するのである。

 ナショナルハントフラットを4戦した後、15/16年シーズンから障害を跳んでいるのだが、以降の成績が14戦13勝。障害初年度にチェルトナム開催のG1シュプリームノーヴィスハードル(芝16F87y)で3着に敗れたのが唯一の敗戦で、以降は前走まで11連勝中という快進撃を続けているのがブーヴェールデールなのだ。

 今年3月、ハードル2マイル路線の最高峰であるチェルトナムのG1チャンピオンハードル(芝16F87y)を前年に続いて連覇した後、シーズンオフの間に喉鳴りの手術を受け、その影響が懸念されたが、今季初戦となった12月1日のG1ファイティングフィフスハードル(芝16F98y)を8馬身差で快勝。不安を払拭している。26日のケンプトンには、ブーヴェールデールを見るために足を運ぶファンもたくさんいるはずだ。

 そして、日本時間の24時05分(現地15時05分)にスタートするのが、スティープルチェイス3マイル路線の基幹競走であるG1キングジョージ6世チェイス(芝24F)だ。こちらは一転して、10倍以下のオッズに6頭がひしめく大混戦模様となっている。そんな中、ブックメーカー各社が3.5〜3.75倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、前年に続くこのレース連覇を狙うマイトバイト(セン9、父スコーピオン)だ。昨季のG1チェルトナムGC(芝26F70y)でも2着となっている強豪だが、今季初戦となったG1ランカシャーチェイス(芝25F125y)で勝ち馬から29馬身も離された5着に敗退。混戦模様を演出する一因を作った。

 そのG1ランカシャーチェイスを勝って4度目のG1制覇を果たしたブリストルデマイ(セン7、父サドラーメイカー)、昨季のG1チェルトナムGC勝ち馬で、G1ランカシャーチェイス2着のネイティヴリヴァー(セン8、父インディアンリヴァー)、16年のこのレースを含むG1・5勝馬で、G1ランカシャーチェイス3着のシッスルクラック(セン10、父ケイフタラ)、昨季のG1JLTメリングチェイス(芝19F200y)を含むG1・2勝馬で、今季初戦のG2クリスティ1965チェイス(芝21F8y)を勝っての参戦となるポリトローク(セン7、ポリグロート)、16/17年シーズンからスティープルチェイスを跳びはじめて以降、6戦してG1アスコットチェイス(芝21F8y)を含めて6連勝と負け知らずで来ているウェイティングペイシェントリー(セン7、父フレメンスファース)らが、10倍以下のオッズに並ぶ馬たちだ。

 一方、アメリカに目を向ければ、冬春開催の開幕日にあたるサンタアニタ競馬場も、G1のダブルヘッダーとなっている。日本時間の27日午前7時15分(現地26日14時15分)にスタートするのが、3歳牝馬限定のG1ラブレアS(d7F)だ。

 軸足は6F路線に置いている馬、マイル路線に置いている馬、双方を行ったり来たりの馬の3パターンがいて、馬券的に一筋縄ではいかない年が多いレースなのだが、今年は、ボブ・バファートが管理し、ドレイドン・ヴァンダイクが騎乗するドリームツリー(牝3、父アンクルーモー)で軸は固いというのが、大方の見るところである。

 17年のファシグティプトン・ガルフストリーム2歳セールにて75万ドル(当時のレートで約8550万円)で購買された同馬は、2歳10月にデビュー。いきなり3連勝でG1スターレットS(d8.5F)を制すと、今季初戦のG2ラスヴァージネスS(d8F)も快勝。G1ケンタッキーオークス(d9F)の最有力馬と目されたが、その後、故障を発症して春のクラシックを全休。9月2日にサラトガで行われたG2プライオレスS(d6F)で戦線復帰を果たし、ここを勝ってデビュー以来の連勝を5に伸ばしている。

 11月3日のG1BCフィリー&メアスプリント(d7F)を使う予定が、1週前の追い切り後に喉頭蓋エントラップメントを発症。BCを回避し、症状を改善するための手術が行われた後、12月に入ると本格的な調教を再開。既に4本の追い切りを消化し、出走態勢を整えている。仕上がり具合にいささかの懸念は残るが、名伯楽バファートが使ってくる以上、相応の出来にはあるはずで、そうであるならば、ドリームツリーが連勝を6に伸ばす場面が見られるはずだ。

 そして、サンタアニタを舞台に日本時間の27日午前9時(現地26日16時)にスタートするのが、3歳牡馬によるG1マリブS(d7F)だ。フルゲート14頭のところに16頭が登録し、2頭が補欠リストで待機することになった。モーニングラインの1番人気(4.5倍)は、これもボブ・バファートが管理するマッケンジー(牡3、父ストリートセンス)だ。

 9月のG1ペンシルヴェニアダービー(d9F)で2度目のG1制覇を果たした後、2番人気に支持されたG1BCクラシック(d10F)では12着に大敗。その要因を距離とみた陣営が、ここに矛先を向けてきたものだ。7Fを走るのは、昨年10月のデビュー戦以来となるが、果たして首尾やいかに?!

 G1ペンシルヴェニアダービー2着馬で、G1BCクラシック9着のアクセルロッド(牡3、父ウォリアーズリワード)、今年2月のG2サンヴィセンテS(d7F)、5月のG3ラザロバレラSと、マリブSと同コース・同距離の重賞を2勝しているカンタカ(牡3、父ジミークリード)、G2サンヴィセンテSの2着馬で、9か月の休み明けだった前走デルマーの条件戦(d6.5F)を勝っての参戦となるネロ(牡3、父パイオニアオヴザナイル)、昨季のG1BCジュヴェナイル(d8.5F)2着馬で、3着に敗れた6月10日のG3アファームドS(d8.5F)以来の出走となるソロミニ(牡3、父カーリン)らが2番手グループを形成している。

 日本時間の今日深夜から明日朝にかけて、英米で行われるG1競走の数々を、日本の皆様もぜひお楽しみいただきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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