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「せっぱつまった」思い

  • 2005年08月24日(水) 11時02分
 競馬場の熱気と興奮、その輪の中に自分もいるのだという実感のある時、誰しも来てよかったと思うものでしょう。秋の気配が濃くなるにつれ、そうした思いにも変化が感じられるようになり、特に、全てのレースが終了した新潟にいて、残る他場のはくぼレースを迎えるとき、どこか「せっぱつまった」ギリギリの感情に気がつくようになりました。

 薄暮という気分が鎮まる時に迎える競馬、これには独特のものがあります。

 思考する力も、一日の数多くのレース検討を積み重ねた末には、その力も弱くなり、どこか執着のない淡泊な思いばかりになっていて、どう考えてもおまけのついでに参加しているだけなのです。余力があれば少しはいいのですが、それもないままに「はくぼ」を迎えることが多いのです。

 いつか、それまでの競馬で大成功して余裕しゃくしゃくで「はくぼ」をやってみたいと切に思っているのですが、今年は今のところ一度もありません。

 それなら「はくぼ」をやらずに、さっさと引き上げればいいのに、そうもいかない「せっぱつまった」思いがそうさせてはくれません。この繰り返しを重ねながら、ローカル競馬も終盤を迎えました。

 最後の最後までマークカードに記入し続ける仲間の輪の中にあって、ここは試練のときと気丈に立ち向かう一人一人に、是非、幸運をと祈らざるを得ません。

 いくら「はくぼ」の散漫な気分に流されそうになったとしても、そこは戦いの場。レースに強靭な筋金をとおして走ってくれそうな人馬に狙いを定め、神がかりともいうべき決断を引き出さねばなりません。競馬をやるということはそういうことであって、決して甘いものではないでしょう。

 さて、またしても難しくなっていくのに、胸が熱くなる瞬間を夢見ているこの自分を、もう一人の自分が見つめています。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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