「2歳戦のうちにデビューできる率」が増している
明け3歳世代の2歳シーズンは、ニシノデイジーが健闘したもののサートゥルナーリアがホープフルSを勝って締め、ノーザンファーム旋風吹き止まずということになった。
何度も書いているようにPOGは既に「ノーザンファームの良血馬を奪い合うゲーム」になりつつあるが、実際のところこの10年間でノーザンファームの勢いはどのように増してきたのだろうか? 育成馬は公式データが無いので、生産馬ベースで2歳戦成績を全馬とNFで整理してみると次のようになる。
2歳戦の着度数で最後に社台ファームがノーザンファームを上回ったのが2011年なのだが。その頃と比べるとノーザンファームは2倍以上の頭数を2歳戦に送り込んでいることが分かる。その間、他の2歳馬も登録・出走が増えているのだが、ノーザンファームの増加がそれを上回っている。
ちなみに、最終的にJRAに籍のついたノーザンファーム生産馬は、2009年の2歳世代から順に262頭、291頭、306頭、325頭、352頭、365頭、370頭、398頭、395頭で、現3歳世代がいまのところ418頭(血統登録された馬は478頭)。増えているが倍になったわけではない。つまり、「2歳戦のうちにデビューできる率」が増しているということになる。
2歳戦におけるノーザンファーム自身の勝馬率は2009年の2歳世代から順に、34.4%、37.7%、31.7%、31.0%、33.6%、35.5%、37.8%、34.3%、38.9%、43.2%。量を拡大してなおかつここ2年質も上げているのは正直すごいの一言。しかも明け3歳世代は大きいところを勝ちまくって1走あたり賞金も上げてきた。
こうして振り返ると結局「ノーザンファームすごい」という結論にしかならないのだが、POGのドラフト戦略として心がけるべきことはあるか。
ひとつは、デビュー遅れそうな馬は以前よりも避けるということだろう。これだけ順調にデビューできる馬が増えている時代に、取材時点でメドの立っていない馬を重視する必要はない。
もうひとつは、ノーザンファームの馬で極端な穴狙いは避けるということだ。2018年はともかく、2017年まで1走あたり賞金は大きく伸びているわけではない。頭数が増えたぶんは上にも下にも伸びているわけで、だとしたら上だけを追求したほうがいい。そもそもノーザンファームを狙っている時点で斜に構えるのはおかしい話。素直にミーハー路線でいくのがよいだろう。