
▲ユーザーからの質問に答える小牧騎手
今週の『太論』は、ユーザーからの質問4連発です。「アーモンドアイ」「得意条件」「巧いと思う日本人騎手」「2着が多い原因」などなど、興味深いキーワードが続々登場します! そのひとつひとつに丁寧に答えつつ、最後には2019年に懸ける思いを改めて明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)
下半身がしっかりしてるから、直線でもよう動かしてくる
──今回はユーザーからの質問を4つほどご紹介します。まずは、「アーモンドアイが満票で年度代表馬に選出されました。多くの競走馬に騎乗されてきた小牧騎手から見て、アーモンドアイがほかの馬と違うなぁと思うのはどんなところですか? ぜひベテランジョッキーの見解を知りたいです」という質問です。
小牧 何が違うって、それはもう絶対的な能力が違うでしょう。スピードもあるし、持久力もあるしね。
──走りも独特ですよね。直線で何度も手前を替えながら伸びてきたり。
小牧 直線でトップスピード近くまでいっても、馬自身にまだまだ余裕がある証拠やね。それこそ絶対能力の成せるワザなんちゃう? ちょっと気が早いけど、今から凱旋門賞が楽しみや。
──小牧さんがそんなこと言うなんて珍しいですね。
小牧 そう? なんせ、ほかの馬より能力的にひとつもふたつも上やから。でも、凱旋門賞を考えると、ちょっと真面目すぎるのが気になるなぁ。長丁場やし、揉まれる競馬になりがちやろ? となると、もうちょっと遊びながら走れたほうがいいのかなって。能力的には十分足りるやろうから、あとはそのあたりの気質がどう出るかやね。
──続いては、「いつも楽しく拝見しています。小牧騎手自身の得意な条件(競馬場、馬場、枠、馬の立ち回り)を知りたいです!」というリクエストです。定期的に届く質問ですが、以前は阪神ダート2000mを挙げてらっしゃった記憶があります。
小牧 競馬場では、たしかに阪神が好きやね。距離でいうと、1900、2000のダートも好きやけど、一番は1800mのダートかなぁ。スピードが多少足りない馬でも、スタートとジョッキーの気持ち次第で前に行ける可能性があるし、ペースが落ちればマクるという選択もできる。同じダートでも、1200mとなるとそうはいかないからね。
──たしかに小牧さんの腕の見せどころが多い条件ですよね。同じ方からもうひとつリクエストがきているのですが、「小牧騎手が上手いと思う日本人騎手ベスト3が知りたいです! 若手騎手の名前が挙がったらすごいですね。よろしくお願いします!」とのことです。
小牧 そりゃあ(武)豊くんが真っ先に浮かぶけど…ベスト3かぁ。ちょっと難しいなぁ。最近好きだなぁと思うのは浜中やね。僕の好きな乗り方というか。
──具体的には?
小牧 道中の運びとか直線のフォームがどうこうではなくて、とにかく基礎である下半身がしっかりしてるなぁと思う。だから、直線でもよう動かしてくるわ。さらに若手となると…、パッと出てこんね。でも、最近の若い子はみんな巧い。それはホントに思うよ。
──では、最後の質問です。「昨年は8勝2着25回でしたが、小牧騎手に限らず、一時的に2着が増える騎手をときどき見かけます。やはり仕掛けのタイミングなど、何かしらの原因があると思いますか?」。
小牧 ん〜、そういうのもあるかもしれんけど…自分ではわからんねぇ。だいぶ経ってから「あのときはああだったな」と原因に思い当たったりするのかもしれんけど。
──そうですよね。でも、小牧さんの場合は、技アリの2着も多かったように思います。
小牧 ああ、人気がない馬でね。でも、ジョッキーとしては、なんにせよ2着はおもしろくないからね。どんなに人気がない馬でも、そこまできたら勝ちたかったと思うし。とりあえず、今年も早くひとつ勝ちたいね。
──新年度の1勝目というのは、ジョッキーにとってすごく大きいそうですね。
小牧 うん。やっぱりひとつ勝つのと勝たないのでは、気持ちの余裕が違うから。質問にもあったけど、なんせ去年は8勝だからね…。8勝しかできんと、ようジョッキーを続けてるわなんて思うこともあるけど(苦笑)、それでも気持ちが途切れんかったから、まだまだ大丈夫やなって。乗り馬もボチボチ増えてきているし、1カ月に1勝だとしても12勝できる。まずは1年間通して乗ることを目標に、1勝ずつ積み上げていきたいね。

1年間通して乗ることを目標に、1勝ずつ積み上げていきたい