都内ホテルにて開かれたJRA賞授賞式の模様を編集部が総力レポート! JRA賞とは、その年に活躍した馬・人を表彰し、また馬事文化の発展に顕著な功績のあった者(団体)等を表彰する制度です。ここでは全受賞者の喜びの声をお届けいたします。
1月28日(月)、東京都港区 ザ・プリンス パークタワー東京にて行われたJRA賞授賞式。競馬関係者が出席し今年も盛大に行われました。
いつもとちょっと違う? ビシッと決めたターフィー君が受賞者をお出迎えし、いよいよ授賞式がスタート。
司会は競馬実況でもおなじみのラジオNIKKEI 中野雷太アナウンサーと西島まどかさん。
中野雷太アナウンサーと西島まどかさん
まずはじめに、顕彰馬レリーフ贈呈式が行われ、2018年度顕彰馬、ロードカナロアの関係者の皆様が壇上へ。
2018年度顕彰馬:ロードカナロア
レリーフ、トロフィーを授与するのはJRA理事長 後藤正幸氏(右)
ロードホースクラブ 代表取締役 中村伊三美氏「待ってました!
嬉しかったですね、こういう馬に巡り合えて。勝ち始めてから負けたらどうしようという思いの方が強くて、勝つたびにほっとしていました。短いところから長いところまで走れる子供を産んでほしいと思います」
主戦を務めた岩田騎手、当時調教助手だった安田翔伍調教師の姿も
そしてJRA賞の授賞式へ。各部門の受賞者が弦楽器の生演奏とともに壇上に上がっていきます。
JRA賞馬事文化賞:矢野吉彦氏
受賞作は「競馬と鉄道 あの“競馬場駅”はこうしてできた」
「(馬事文化賞の一報を聞いて)GIをとったような気持ちでした。最初は競馬ブックの記事から始まって、それが新馬のデビューで、競馬博物館で特別展をやったというのが重賞制覇のようなところで。トークショーをやってそこでお声がけいただいて、本にさせていただいたのですが、それがトライアル制覇と。で、JRA賞にノミネートされていると聞いてはいたのですが、ダービーなどと違って相手がわからない。自分は仕上げたつもりだったんですけど、どんな相手がいるかわからないから、本当にドキドキしていたのですが、受賞させていただいたときには、いろいろな方々にお世話になってこの本に繋がったわけですから、皆さんへの感謝の気持ちが真っ先にあがりました。
原良馬さんが功労賞を受賞されて、私の仕事の大先輩ですから、本当にお世話になってますので、原さんの先を越して賞をとらなくてよかったなと(笑)、一緒で本当に喜ばしい限りです。
本業はしゃべる方なのですが、アナウンスのほうは(司会の)中野雷太さんとは違って噛み噛みで“噛み”アナウンサーなのですけど、最近ちょっと“髪”も薄くなっていますが(笑)、“紙”の方で賞をいただいたというのは、本当にありがたいなと思っています。
(鉄道ファンと競馬ファンの共通点は)競馬新聞を見て勝ち馬を探すのと、時刻表を見てルートを探し出すのはほとんど一緒だと思うんです。だから私の競馬仲間にも鉄道好きは多いです。鉄道ファンだったらきっと競馬ファンにもなってもらえると思うので、そういう意味でも競馬と鉄道というのは、これからも末長く、いい絆を保っていくんじゃないかなと思っています」
JRA賞馬事文化賞 功労賞:原良馬氏
競馬中継の解説や各地ウインズでのトークショーへ出演で、中央競馬の社会的認知とファン層の拡大に貢献
「僕なんかじゃちょっともったいないなと思います。優秀な方たちがたくさんいらっしゃるのに…。長かったような気もしますが、あっという間の50年だったかなと思います。若手の頃に、ハイセイコーやトウショウボーイ、カブラヤオーなどの番記者として話を聞いてまわったり、夏は北海道の牧場をまわったりした事が印象的です。
まだまだこれからファンの皆さんのために頑張りたいなと思いますね。ファンの皆様と一緒になって、競馬の楽しさ、素晴らしさをより多くの方に伝えていきたいです」
大腿骨を骨折してしまったという原さん。これからもファンと一緒に、競馬の魅力を伝えていきたいと繰り返されていたのが印象的でした。
最多勝利調教師:藤原英昭調教師
2018年はエポカドーロで皐月賞を制し自身キャリアハイの年間58勝を挙げた
「この場に立たせて頂くということ、関係者の皆様に深く感謝したいと思っています。そして、この勝利というのは私というよりも、藤原厩舎のスタッフが日々努力している結果だと思っておりますので、誇りに思っています。
去年だけというよりも、初志貫徹で頑張ろうと進めてきたので、この積み重ねが花咲いたと思っています。
馬の質は世界と肩を並べるくらいにまで来ていると思いますので、それを仕上げていく我々スタッフがまた精進して、技術力をレベルアップしていきたいと考えています」
最高勝率調教師・優秀技術調教師:木村哲也調教師
開業8年目、ステルヴィオでマイルCSを制し初GI制覇を遂げた
「毎年そうなのですが、1年間はあっという間でバタバタと過ぎてしまいます。この場に立たせて頂いているのがいまだに信じられない気持ちでいます。
去年1年間だけ頑張ったわけではなくて、何年もかけて毎日コツコツとやってきてることだと思うんですけど、私自身はたいしたことなくて、愛すべきスタッフのお陰だと思っています。
歴代の受賞者の先輩方の名前を見てると、どうしよう?っていう感じなんですけど(笑)、それに恥じないような仕事をしていきたいと。変わらず、おごらず、誠実にやっていきたいなと思います」
最多賞金獲得調教師:友道康夫調教師
ワグネリアンで自身2度目のダービー制覇。最多賞金獲得調教師のタイトルは初
「2017年はあともう少しのところでこのタイトルが取れなかったので、2018年は本当にいい1年だったなと思います。僕1人だけでは頂けない賞なので、うちのスタッフをはじめ、牧場の方、馬主さん、全ての方に感謝したいと思います。日本国内もそうですし、海外でも大きなGIを取って、また1年後この席で素晴らしい賞を頂けるように、スタッフ一同頑張っていきたいと思います」
最優秀障害騎手:五十嵐雄祐騎手
2018年は13勝を挙げ障害リーディングに。障害レースの年間騎乗数もトップの96回
「昨年はたくさんの関係者の方々に声をかけて頂きまして、たくさん騎乗させて頂き、たくさん勝たせて頂いたので、本当に感謝しています。勝ったレースはもちろんですが、負けたレースもたくさん印象に残っています。またここに立たせてもらえたので、今年、さらにそのあとも、またこの場に立てるように頑張っていこうと思います」
騎手大賞・MVJ:C.ルメール騎手
2018年は年間215勝、GI8勝と金字塔を打ち立て、史上3人目の騎手大賞を受賞
「みんなのおかげでいい結果を出すことができました。競馬はチームワークですので、みんなに感謝しています。素晴らしい年でした。もちろんGIは全部特別なレースですが、アーモンドアイで3冠取った時はすごくいい気持ちでした。
今年も毎競走頑張りたいです。アーモンドアイとレイデオロで、海外で大きなレースを勝ちたいです。今年はアーモンドアイと凱旋門賞に行けたらいい結果を出したいです。(ルメール騎手自身も凱旋門賞は楽しみ?)はい、もちろん! 私はフランス人です(笑)。まだ勝ったことないので、ぜひ勝ちたいです」
特別賞:武豊騎手
前人未到の4000勝を挙げた武豊騎手。農林水産省 𠮷川貴盛大臣がトロフィーを授与
「(特別賞の受賞は)大変うれしいです。昨年は、自分としては納得できる成績ではなかったのですが、4000勝を達成できて、評価していただいたのかなと思います。改めて、多くの方に支えていただきここまで来たなと実感できたのが、幸せな瞬間でした。
あまり足踏みするといろいろな方に迷惑がかかるので(笑)、達成したときはほっとしました。まだまだ未熟者だと思っていますので、5000勝を目指して頑張ります」
最優秀2歳牝馬:ダノンファンタジー
3連勝で阪神JFを制し2歳女王に
旦那様の代理で出席された野田みづきオーナー「(3連勝で2歳女王に輝きましたが)すみません、私の馬じゃないので…(笑)。代わりに参りましたので申し訳ございません。牝馬で初めて表彰されるので主人も非常に喜んでおりました。今日来れないのが非常に残念なのですが…。
(これからどんな活躍を)…牝馬ですから、私も(ご自身が所有の)ミッキークイーンで表彰されて、ぜひそれ以上に頑張ってほしいと思います」
最優秀2歳牡馬:アドマイヤマーズ
無敗で朝日杯FSを制し2歳チャンピオンに輝いた
近藤利一オーナー「(無傷の4連勝)ミルコがすごくよく乗ってくれたと思います。調教師もスタッフもよかったです。とにかく胸がドキドキワクワクです。今年の抱負は調教師とジョッキーに聞いてください(笑)」
友道康夫調教師「来年のこの場所では最優秀3歳牡馬と年度代表馬を頂けるように頑張りたいと思います」
M.デムーロ騎手「どこでも勝ちたいですね(笑)」
最優秀障害馬:オジュウチョウサン
障害の絶対王者が平地に挑戦、2018年の競馬界を盛り上げた一頭
長山尚義オーナー「同一馬で3年連続の受賞というのは、ありがたいことです。これほどいい馬にあたるとは思ってもいませんでした。有馬記念を除いては(笑)、期待通りの活躍をしてくれました。でも、有馬記念を走ってくれたことは、とてもよかったです。今後は是非ともGIを勝って、種馬にしたいです」
最優秀ダートホース:ルヴァンスレーヴ
JDD、マイルCS南部杯、チャンピオンズCと3歳にしてGI3勝を挙げた
GIレーシング 吉田正志代表「(3歳馬の最優秀ダートホース選出は12年ぶり)選んでいただいてありがとうございます。(フェブラリーS回避も)幸い怪我もたいしたことはなかったので、今後に備えていまは休みをとって、また今年たくさん勝っていきたいなと思います」
最優秀短距離馬:ファインニードル
史上5頭目のスプリントGI春秋制覇達成。2019年に種牡馬入り
福田洋行レーシングマネージャー「私もオーナー(シェイク・モハメド)の代理で来ていますが、オーナーさんのためにGIを勝ちましたという報告が出来たのが嬉しかったので、最初の高松宮記念を勝てたのが一番印象に残っています。ファインニードルが短距離の芝で勝つことができてチャンピオンということになりましたので、産駒もそういう馬を送り出せたらいいなと思います」
最優秀3歳牡馬:ブラストワンピース
唯一の3歳馬として出走した有馬記念で見事GI初制覇
シルクレーシング 米本昌史代表「この世代の牡馬はすごく層が厚かったので、こういった賞に選出されて本当に光栄に思っています。春は国内で、まずは大阪杯を目標に進めていただいています。そこで結果を残してくれれば、さらなる高みへ行きたいなと思っています」
最優秀4歳以上牝馬:リスグラシュー
惜敗が続いていたが、エリザベス女王杯で悲願のGI初制覇
キャロットファーム 秋田博章社長「惜敗をしていたので、勝ったときは飛び上がる気持ちでした。本当にありがとうございます。今年の始動戦はまだ考え中なのですけど、昨日お祝いがあったのですが、その席上で香港のQEII世Cと。そこを春の大目標にしたいと思います」
最優秀4歳以上牡馬:レイデオロ
キャロットファーム 秋田博章社長「(2年連続の受賞となりましたが)たいへん嬉しいです。去年取れなかったGIを、悔しいですからチャレンジして取りたいと思います。去年の最初にドバイを負けてしまいましたが、この1年で馬が随分成長したように見受けられますので、ぜひリベンジしたいと思います」
年度代表馬・最優秀3歳牝馬:アーモンドアイ
牝馬3冠を達成、異次元の強さでジャパンカップでも一線級の古豪を完封
シルクレーシング 米本昌史代表「今年1年はあっという間だったのですけど、すごい経験をさせてもらえて、本当に幸せだなと思います。ひとつひとつのレースが毎回驚きでした。特に最後のジャパンカップは、ゴールした後、場内が一瞬静まり返って、多分タイムをご覧になられてだと思いますが、ザワザワしていたのが忘れられないです。その時はタイムを見て馬が心配になったのが正直なところでしたが(笑)。春はドバイターフ、1800mに挑戦しようと国枝先生とお話ししました」
国枝栄調教師「(アーモンドアイのストロングポイントは)フィジカル、メンタル、全てにおいて我々の思っている以上のモノを秘めているのではないかと思っています。どこがリミットなのか分からないので、ファンの皆さん、関係者の皆さんと共に味わっていきたいなと。この春は新しく海外への挑戦となりますが、海外でも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれるのではないかと期待しています。(牝馬を管理するにあたって気を付けていることは)女性ですので(笑)、デリケートにいきたいと思っています」
C.ルメール騎手「アーモンドアイは特別な馬です。頭もいいですし、力もある。先週勝ったナオミオオサカ(大坂なおみ選手)みたいな馬です(笑)。どこまで強いのかまだわからないね。特に印象に残ってるレースは秋華賞です。もちろんその日はプレッシャーがありましたが、後ろのポジションから、大外からいい脚を使って、いいレースが出来ました」
佐藤勝美助手「(調教パートナーとして)苦労したことは…ないです。忘れちゃいました(笑)。すごく近くにいるのですが、活躍すればするほどどんどん遠くにいってしまうような気がしてちょっと寂しい感じもします。嬉しいですけどね」
根岸真彦助手「(レースはいつもどんな心境で)人気もしていたのでプレッシャーもあったのですけど、ルメール騎手が上手く乗ってくれました。普段調教では言うことを聞いてくれるのですが、厩では気の強いところを見せたりもします」
ノーザンファーム 吉田勝己氏「(アーモンドアイの活躍ぶりを見て)本当にすごい馬ですね。びっくりしましたね。(昨年もノーザンファーム生産馬が大活躍でしたが)本当にすごいですよね、本当。それしか言えなくてすみません。アーモンドアイにはこれからも負けないでいてほしいですね」