芝2000-2400mで大きいところを狙えるキズナ産駒オールザワールド
《2歳》
●ウェーブビクトリー(牝 栗東・中尾秀正 父ルーラーシップ、母ショウナンアクト)
母ショウナンアクトは現役時代、ダート短距離を得意とし、準オープンまで出世した。繁殖成績も優秀で、初子オルナ(父キングカメハメハ)はダートでオープンクラス、2番子リヴァイバル(父ワイルドラッシュ)は1000万条件、3番子スマートレイチェル(父キングカメハメハ)は準オープンにそれぞれ在籍している。
本馬はオルナとスマートレイチェルの4分の3妹。「ルーラーシップ×フレンチデピュティ」はいまのところ芝よりもダートで良績を残しており、上3頭はいずれもダートホースなので、本馬もダート向きの可能性が高い。距離は万能だろう。
●エメラルホープ(牡 美浦・相沢郁 父エスケンデレヤ、母セトウチソーラー)
母セトウチソーラーはJRA未勝利馬だが、繁殖牝馬として優れており、初子エメラルエナジー(父ファルブラヴ)はオープン入りを果たし、2番子エメラルスター(父タイキシャトル)は1000万条件、3番子はJRA不出走、4番子エメラルファイト(父クロフネ)は札幌2歳S(GIII)4着馬で白梅賞(3歳500万下)を快勝した。
2代母サマーヴォヤージュがStorm Bird≒Fanfreluche 2×2で、母セトウチソーラーはNijinsky≒Storm Bird 4×3としてそれを継続するという味な配合。何をつけても走っているのでエスケンデレヤを父に持つ本馬にも期待できるだろう。Storm Cat≒Summer Squall 3×3で上記のクロスをさらに継続している。芝・ダート兼用のマイラー。
●オールザワールド(牡 栗東・中竹和也 父キズナ、母エピックラヴ)
父は新種牡馬キズナ。桜花賞などGIを3勝したファレノプシスの半弟で、日本ダービー(GI)など5つの重賞を制した。「ディープインパクト×Storm Cat」は本馬を含め国内外で7頭のGI馬が出現しているニックス。本馬の4分の3兄ミッキーブリランテ(父ディープブリランテ)はシンザン記念(GIII)3着。
母は芝1800mの仏G3を勝ち芝2000mの仏G1でも2着。母の父Dansiliはハービンジャーの父として知られ、ヨーロッパ血統ながら堅い芝を得意とする。芝2000〜2400mで大きいところを狙えそうなタイプだ。Alzao 4×4があるので切れ味も期待できる。
●グレースケール(牝 美浦・相沢郁 父クロフネ、母ライジングサンデー)
ファルコンS(GIII)を勝ったエーシンホワイティの半妹。母ライジングサンデーは芝で1勝を挙げた程度の競走馬だったが、2代母タレンティドガールはエリザベス女王杯(GI)を勝った名牝で、その半兄にニッポーテイオー(87年天皇賞・秋-GI、87年マイルCSなど重賞7勝)がいる。5代母ワールドハヤブサ(1967年生)以来、千代田牧場に根付いている名門牝系だ。
ヴィクトリアマイル(GI)、府中牝馬S(GII)など5つの重賞を制したホエールキャプチャとは8分の7同血で、「クロフネ×サンデーサイレンス+チヨダマサコ牝系」という配合パターンは、他にパクスアメリカーナ(19年京都金杯-GIII)、ベストクルーズ(09年ファンタジーS-GIII・2着、09年阪神JF-GI・3着)、シゲルスダチ(12年北九州記念-GIII・2着)、マーチャンテイマー(14年ブリーダーズGCーJpn3・3着)、ドリームセーリング(13年中山金杯-GIII・4着)などが出ている。全兄タレンティドガイはJRA未勝利に終わったが、配合がいいので期待したい。
●サウンドヒーロー(牡 栗東・吉田直弘 父スクリーンヒーロー、母サウンドガガ)
母サウンドガガは外国産馬で、現役時代に川崎のスパーキングレディーC(Jpn3・ダ1600m)を逃げ切り、連覇を狙った翌年も2着と健闘した。「Roman Ruler×Phone Trick」というダート向きのパワー血統なので、父が何であれダート向きに出そうだ。
父スクリーンヒーローはモーリス、ゴールドアクター、ジェネラーレウーノ、グァンチャーレ、ミュゼエイリアン、トラストなど多くの一流馬を出している。これらはいずれも芝馬だが、連対率ベースでみると芝よりもダートのほうがいいので、配合次第ではダート馬を出せる種牡馬だ。ダート向きのマイラーだろう。