皐月賞制覇を十分狙えるトライアル最終便/スプリングS
エース格は不在、伏兵に注目したい
1月のシンザン記念から始まった春の牡馬クラシック路線は、ポイントになる共同通信杯が7頭立て、きさらぎ賞が8頭、弥生賞が10頭など、少頭数のレースが連続してきた。有力馬のサートゥルナーリア、ダノンキングリー、アドマイヤマーズ…などが近年の傾向通り出走レースを絞り、「皐月賞→日本ダービー」のために活力温存の手法をとっているからだろう。
ところが、次週の毎日杯とともに最終便に近いスプリングSとなったら、たまらずフルゲート16頭。クリノガウディー(条件賞金1800万)まではギリギリ大丈夫と思えるが、賞金ボーダーの上昇とともに、なんとかここで出走権を…の馬が一気に出走する。
共同通信杯組に押されているような印象はあるが、最近10年の皐月賞のうち4頭がスプリングS連対馬、1頭が最終便の毎日杯の勝ち馬。皐月賞制覇のチャンスは十分ある。エース格は不在なので、上昇度と可能性が問われる。伏兵に注目したい。
2勝馬ロジャーバローズ(父ディープインパクト)は、G1を7勝もした歴史的名牝ジェンティルドンナと「イトコ」の間柄になる注目馬。単なるイトコではなく、父は同じディープインパクト。母の父リブレッティスト(ジャックルマロワ賞などマイルGI2勝)は、ジェンティルドンナの母の父ベルトリーニと同じく、大種牡馬ダンチヒの直仔。イトコながらほとんど同血にも近い血統図になる。
もちろん才能は異なる。ここまでの3戦すべて上がり「35秒6-9」止まり。ジリ脚ではないが、11秒台後半の速い脚が2ハロンしか続かない。もっとも、ジェンティルドンナも桜花賞までの4戦は【2−2−0−0】だったが…。
引いたのは外の15番。内から行きたい同型も多い。これまでのように好位抜け出し作戦では、タフな馬場は有利でも、あまり切れない死角が一段と響いてしまうだろう。絶好調(34勝でランキングトップ)の川田騎手と陣営の作戦で、思い切って控えて差す形を取ったりするとき、一転の可能性が生まれる。先週のFレビューを同着で勝ったノーワン(父ハーツクライ)と同じ飛野牧場(新ひだか)の生産馬。勢いはある。
人気薄のニシノカツナリ(父ルーラーシップ)のイトコにあたるのは、皐月賞候補ニシノデイジーの母ニシノヒナギク。名牝ニシノフラワーのファミリーで、カツナリは祖母が、デイジーは3代母がニシノフラワーになる。3勝した半姉ニシノアモーレは、コンデュイット産駒とは思えないバネがあった。父は変わったが追い出しての鋭いストライドは同じ。ムードを秘めた素質馬で大混戦になると侮れない。
路線に乗りかけている中ではシークレットランの巻き返しか。父ダンカークはわずか5戦で引退しているが、3戦目のGIフロリダダービーを2着に快走。4戦目は凡走したが、5戦目のベルモントSを2着している。3戦目にレコード勝ちし、前回は人気で凡走したシークレットランも、ここまでのサイクルは同じだ。