桜花賞、アーモンドアイを追いかける好敵手の出現に期待
亡きウオッカやライバルが造った牝馬の時代
ウオッカが里帰りすることなく、滞在していた英国で亡くなった。残念でならない。
64年ぶりに牝馬でダービー馬になった2007年の春、牡馬を3馬身と突き放したシーンは忘れられない。オーナーブリーダーの谷水雄三さんにとっては、2002年のタニノギムレットに次ぐ父娘のダービー優勝で、表彰式での晴れやかな表情が思い出される。
ダービーを勝ったとき、ふと頭をよぎったのが前走の桜花賞の敗戦だった。現役時代の最大のライバルになったダイワスカーレットに完敗して、その頃ささやかれていたダービー参戦のプランがどうなるのか、否定的に見るものが多くなっていた。あの時、谷水オーナーと角居調教師の決断がなかったら、新たな歴史を刻むシーンに遭遇することはなかったのだ。
ダイワスカーレットには、翌年秋の天皇賞で大激戦の末、ハナ差で勝っていたが、13分にも及ぶ写真判定。表彰式の司会をするため馬場に下りていて手元には両陣営二通りの読み上げるためのメモ書きがあった。
ウオッカはその後ジャパンCも勝ってGIは7勝していたが、ライバルのダイワスカーレットも有馬記念を勝ち、ブエナビスタ、ジェンティルドンナと牝馬の秋天、ジャパンC、有馬記念の優勝が続いて、ウオッカ以降、牝馬の時代と呼ばれていた。
この春は、アーモンドアイがドバイで国際GIを勝ち、桜花賞からGI5連勝としているが、これに続く牝馬が出てくれば、また牝馬の時代が到来するかもしれない。この出世の起点となった桜花賞でアーモンドアイは2番人気だった。阪神JF、チューリップ賞と勝って4戦4勝のラッキーライラックがいたので仕方なかったが、シンザン記念で牡馬相手に決め脚を発揮した強さは本物で、桜花賞でも後方でじっくり構え、直線は外に持ち出し、ラスト1ハロンから追い出され圧勝していた。
桜花賞と同じ舞台、阪神JF、チューリップ賞の内容から判断するのがセオリーではあっても、今年はこれに、朝日杯FSも加える必要があるので、激戦が想定される。アーモンドアイに続く牝馬が出てくるかどうか。今年も、レベルが高いことだけは間違いなさそうだ。