▲師弟での重賞初制覇を狙う(左)鈴木伸尋調教師と(右)津村明秀騎手 (C)netkeiba.com
今から11年前の2008年、ユニコーンSを勝ったのは鈴木伸尋厩舎のユビキタスだった。2着馬に7馬身差をつける大物感たっぷりの勝ちっぷりに、ダート界のホープと誰もが期待を寄せたが、喉鳴りによって競走馬生命を絶たれてしまった。
そして今年、鈴木厩舎からダート界の新たなスター候補が現れた。デアフルーグ(牡3)だ。前走の青竜S(3歳OP)では、最内枠が響いてデュープロセスのクビ差2着と初めて他馬に先着を許した。だが陣営はあの敗戦に悲観はしていない。雪辱を果たすべく、調整も至極順調だ。鈴木調教師に初めてデアフルーグに出会った頃から今に至るまで、じっくりと話を聞いた。
(取材・文=佐々木祥恵)
師も心配した新馬戦は、後続に9馬身差をつける圧勝劇
鈴木師がデアフルーグを初めて見たのは、当歳の時だった。
「これまでこの馬の兄や姉を多く管理してきたこともありますし、良い馬がまた生まれたというお知らせがあったので、隆栄牧場に見に行きました」
この兄弟の中で当歳時に1番良く見えたのは、デアフルーグの1つ上の兄のショーム。
「ズバ抜けて良い馬だと思いました。それに比べてデアフルーグは、脚が長くて体も少し薄く、どちらかというと華奢なタイプでしたね」
鈴木師に話を伺う前に厩舎で写真撮影をさせてもらったのだが、3歳になった現在でもダート馬にしてはスラッとした体型をしており、筋骨隆々という体付きには映らなかった。
師によるとまだまだ伸びしろはあるといい、現段階でも成長途上。だが昨年12月のデビュー前から調教では良い動きを披露しており、新馬戦でも1番人気に推されていた。