史上2頭目の快挙達成なるか注目が集まる一戦
6月12日(水)川崎競馬場で行われる『第55回関東オークス』は南関東牝馬クラシック3冠を締めくくる戦い。1戦目・桜花賞は浦和の左回り1600m、2戦目・東京プリンセス賞は大井の右回り1800m、3戦目・関東オークスは川崎の左回り2100mと競馬場も距離も異なる条件。
さらに3冠目はJRA勢が加わるダートグレード競走とあって、すべてを制するのは至難の業。長い歴史の中で3冠牝馬に輝いたのは2006年のチャームアスリープ(船橋)1頭のみ。今年は2冠牝馬・トーセンガーネットが史上2頭目の快挙を成し遂げるのか、大注目の一戦です。
チャームアスリープが制した2006年の関東オークスを簡単に振り返ってみると、1番人気は牝馬ながら全日本2歳優駿と兵庫CSを制したJRAのグレイスティアラ、2番人気は芝のクラシック路線を歩んできたJRAのシェルズレイ、3番人気がチャームアスリープ。最後の直線でグレイスティアラが先に抜け出したところを外からチャームアスリープが力強く追い込み、2頭並んだところがゴール。クビ差でチャームアスリープが1着。重賞3勝馬グレイスティアラを破っての大きな価値ある3冠達成でした。
今回、3冠目奪取に挑む浦和のトーセンガーネット。チャームアスリープと同じように徐々に力を付けて、2冠を達成した馬。1月のニューイヤーCでは牡馬相手に1着で、2着は先日東京ダービー馬となったヒカリオーソ。出走するプランもあった東京ダービーでも上位争いに加わっていた可能性大。
地方馬同士では間違いなく力上位で、脅威となるのは当然JRA勢ですが、2006年のグレイスティアラのような現時点でダートグレード競走を制しているJRA馬は不在。もちろん楽な戦いではありませんが、自信を持って挑んで欲しいところ。父はあらゆるカテゴリーで活躍したアグネスデジタル、母父は関東オークスと相性が良いクロフネ(2007年ホワイトメロディー、2008年ユキチャン、2015年ホワイトフーガと産駒が3勝)。血統的な後押しもあり、期待が高まります。
13年ぶりの三冠馬誕生なるか!?浦和のトーセンガーネット(写真は19年東京プリンセス賞優勝時、撮影:高橋正和)
対するJRA勢も上がり調子の有望株が揃いました。
マドラスチェックは前走・鳳雛S(京都・L・ダート1800m)で牡馬相手に1着。2着リワードアンヴァルとの叩き合いでは抜かせることなく競り勝ち、1番人気に応えました。芝の重賞・クイーンC(6着)を使ったのちダートに転向。現在ダートで2戦2勝。かつてのラヴェリータやホワイトフーガのように、ここから牝馬戦線の主役への道を歩むことができるか、非常に楽しみな存在です。
牡馬相手のリステッド競走を勝利したマドラスチェック(写真は19年鳳雛S優勝時、(C)netkeiba.com)
ラインカリーナは前走・伏竜Sで3着。1着馬はこれで3連勝だったデアフルーグ(6/16ユニコーンSに出走予定)、2着はマスターフェンサー(その後、ケンタッキーダービー6着、ベルモントS5着)と牡馬の強豪相手に食い下がりました。2走前のくすのき賞(小倉・3歳500万下・ダート1700m)でも牡馬相手に快勝しており、牝馬同士なら上位争い必至の1頭。
ラインカリーナは牡馬相手に前走3着も牝馬同士なら上位争い必至の存在(写真は昨年6月新馬戦優勝時、撮影:高橋正和)
ローザノワールは前走(京都・3歳500万下・ダート1800m)こちらも牡馬相手に速いタイムで6馬身差の逃げ切り。1分51秒4は同日の京都で行われた與杼特別(4歳以上1000万下)のタイム1分51秒7を上回る好タイム。展開の差などもあり一概に高評価はできませんが、初めての川崎競馬場でも積極策で結果を出すのか? 戦法にも注目です。
前走逃げて6馬身差の圧勝。積極策で好結果が期待されるローザノワール(写真は19年3歳500万下優勝時、(C)netkeiba.com)
エリーバラードは佐賀競馬の重賞JRA交流・たんぽぽ賞(3歳・九州産馬限定・ダート1400m)を勝った熊本県産馬。前走はニュージーランドトロフィー(中山・GII・芝1600m)で14着でしたが、ダートに戻って上位を狙います。
たんぽぽ賞の勝ち馬エリーバラードはダートに戻って巻き返し期待(写真は19年たんぽぽ賞優勝時、提供:佐賀県競馬組合)
地方勢に目を移すと、トーセンガーネット以外にも注目馬がずらり。勝ち馬は2012年のアスカリーブル(船橋)以降、JRA勢が6年連続で制していますが、過去5年を見ると、昨年2着ゴールドパテック(川崎)・3着クレイジーアクセル(大井)、2017年3着ステップオブダンス(大井)、2016年2着ミスミランダー(船橋)、2015年3着トーセンマリオン(浦和)、2014年2着トーコーニーケ(兵庫)と3着以内に地方馬が好走。馬券検討の上で欠かせない存在です。
関東オークスは地方勢も台頭も目立つ。写真は昨年2着のゴールドパテック(写真は18年関東オークス出走時、撮影:高橋正和)
大井のアークヴィグラスは桜花賞3着、東京プリンセス賞2着。ホッカイドウ競馬所属時の昨年10月、エーデルワイス賞を制している今回のメンバー中唯一のダートグレード競走勝ち馬。さらにフルールC、リリーC、エーデルワイス賞、ローレル賞、東京2歳優駿牝馬と重賞5連勝。過去の関東オークスで上位争いを演じた地方馬たちの戦績以上の実績を持つこの馬の、大舞台での巻き返しにも期待。
3歳にして既に重賞5勝と抜けた戦績。巻き返しの期待が大きいアークヴィグラス(写真は19年東京プリンセス賞出走時、撮影:高橋正和)
東京プリンセス賞で3着だったリトミックグルーヴ(曾祖母エアグルーヴ)、桜花賞2着だったゼットパッション。別路線からは前走・水沢の留守杯日高賞(ダート1600m)を勝ったグローリアスライブも参戦。この3頭はすべて川崎所属。地の利を活かし、ひとつでも上の着順を狙います。
東京プリンセス賞3着からの巻き返し狙うリトミックグルーヴ(写真は19年東京プリンセス賞出走時、撮影:高橋正和)
前走は大敗も桜花賞で2着のゼットパッション(写真は19年桜花賞出走時、撮影:高橋正和)
留守杯日高賞の勝ち馬グローリアスライブも大舞台へ挑む(写真は19年留守杯日高賞優勝時、提供:岩手県競馬組合)
【今回のイチオシ馬】
・トーセンガーネット
「史上2頭目の南関東牝馬クラシック3冠牝馬誕生なるか」が今回の関東オークス最大の見どころ。13年前チャームアスリープが制し、祝福の大歓声に包まれた川崎競馬場の熱い雰囲気を再び味わいたいと思います。
【気になる馬】
・ローザノワール
父は菊花賞・有馬記念・天皇賞春を制しているマンハッタンカフェで、距離延長も良さそう。前走好タイムを叩き出したこの馬が逃げ粘る場面も。
すべての馬が初めて経験する2100m戦だけに、一筋縄ではいかない戦い。展開はもちろん、騎手の手腕にも注目。後々は古馬牝馬の重賞戦線にも繋がっていく大事な戦い、関東オークスをお見逃しなく!
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