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【CBC賞】3歳アウィルアウェイは買いか消しか、そこで問われる予想のセンスとは!? /岡村信将

  • 2019年06月28日(金) 18時00分

3歳牝馬アウィルアウェイは今回のCBC賞で買いか消しか?(撮影:下野雄規)


 夏競馬の醍醐味といえば、馬券的には3歳馬と古馬との対決。とくに3歳馬の古馬重賞成績は、そのまま世代のレベルに直結するので(詳しくは年末の有馬記念予想に記します)、早くから注目しておきたい情報です。今回はCBC賞を絡め、3歳馬に関するデータを2つほど提示してみましょう。

 (1) まず夏季重賞における3歳馬、これがかなり面白いデータとなっておりまして、
3歳牡馬 144戦【 5-11-11-117】 勝率 4% 単勝回収率 34%
3歳牝馬 117戦【15- 8-11- 83】 勝率13% 単勝回収率152%
※2001年以降、6月〜8月末の平地古馬重賞

 3歳牡馬は2018年にブラストワンピースが新潟記念(G3)を快勝しているのですが、それは9月になってからの話。夏季重賞の勝ち馬は2011年リアルインパクト、さらには2006年アドマイヤムーンまで遡らなければならず、ハッキリ言ってしまうと3歳牡馬は“買ってはいけない”存在となっています。それに対して3歳牝馬は“目をつぶって全部買い”で済ませられるほどの好成績。1000mから2000mまで全方位に隙なし、夏季重賞で3歳牝馬を嫌う要素は何もないのです。

 (2) ところがところが、夏季重賞でもこのCBC賞に限ってはコースが改修された2012年以降、3歳馬が11戦【0-0-0-11】とサッパリ。牝馬に限っても2014年ベルカントの1番人気5着が最高で、5戦【0-0-0-5】。単に11戦【0-0-0-11】というだけではなく、着順が人気を上回った馬さえ1頭たりとも存在しないのです(8番人気7着など)。

■3歳馬のCBC賞成績
2012年6人気8着シゲルスダチ
2012年13人気13着ファインチョイス
2013年7人気7着ザラストロ
2014年1人気5着ベルカント
2014年5人気16着リアルヴィーナス
2015年8人気8着ジャストドゥイング
2015年11人気14着レオパルディナ
2017年10人気12着メイソンジュニア
2017年6人気14着タイムトリップ
2017年7人気17着アリンナ
2018年3人気4着アサクサゲンキ

 今週のCBC賞、(1) と(2) のまったく相反するデータを踏まえて、最終的にどう判断するべきか。そこで問われるのが予想のセンスというモノでしょう。上位人気の3歳牝馬アウィルアウェイが買いか消しか、それこそ真逆の判定になってしまうのですから。

 余談になりますが、2011年6月に54kgを背負って重賞どころか安田記念(G1)を勝ってしまった3歳リアルインパクト。新馬勝ち以降負け続けてからの人気薄勝利だっただけに、当時は「どういうこと!?」ぐらいの感想しかなかったのですが、こういった3歳牡馬のデータを踏まえて考えると、今さらながらとんでもない偉業だったのだと考えさせられますね…。




■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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