【ラジオNIKKEI賞】菊花賞へ新勢力台頭の波乱レース
渋馬場も苦にしない、父譲りの鋭さが前面に出てきた
ラジオNIKKEI賞は夏のローカルのGIII。注目度は高くないが、ハンデ重賞になった2006年以降、その特徴を仕上がりや成長の遅れていた馬に門戸を開く新勢力台頭レースに変えている。
13年間連続し、勝ち馬は重賞連対実績のない馬ばかり。勝てなくともここで可能性を示すと、やがて開花する馬がいる。2000年以降の菊花賞馬19頭は、春のクラシック経験馬9頭に対し、皐月賞も日本ダービーも経験していない馬が10頭もいる時代である。
それと連動するように、昨2018年、3戦目で2着に台頭したフィエールマンは、秋に菊花賞を勝ち、さらに天皇賞(春)も制覇した。2006年の2着馬ソングオブウインドもやがて菊花賞を勝っている。
菊花賞に限らなければ、2009年3着のストロングリターンは後にレコード樹立の安田記念馬。2007年の2着馬スクリーンヒーローは翌年ジャパンCを勝った。その少し以前にも、2004年の2着馬カンパニーはやがて天皇賞(秋)、マイルCSを制し、そのとき9着(2番人気)だったハットトリックは、翌2005年のマイルCS、香港マイルを連勝し、やがて世界に知られる種牡馬に飛躍している。
今年は馬場状態がつかみにくく、波乱の危険大。大駆けなら目下2連勝のポルーニン(父フレンチデピュティ)。春から追い込み策に変えてレース内容一変。父フレンチデピュティ譲りの鋭さが前面に出てきた。2007年NHKマイルCのピンクカメオ、今春の弥生賞を勝ったメイショウテンゲンの母メイショウベルーガなど、父の産駒は総じて渋馬場を苦にしない。だから、パンチあふれるダート巧者も多く輩出する。
ピッチ走法に近いポルーニンは、東京で追い込んで2連勝しているが、流れさえ味方するなら、むしろ小回りの福島向きだろう。父ディープインパクトと、母の父フレンチデピュティ系牝馬の大活躍は知られるが、その逆パターンの配合も正解であって不思議ない。
同じく実績一歩のアドマイヤスコールは、17年の勝ち馬セダブリランテスと同じディープブリランテ(父ディープインパクト)産駒。ディープ系にしては切れ味もう一歩だが、3代母Aces Swingingは大種牡馬Raise a Nativeの1歳上の全姉にあたる。平坦に近いコースで時計がかかる渋馬場で大変身の可能性がある。
3頭も出走するヴィクトワールピサ産駒も魅力十分。前回は同じ父の産駒レッドアネモスに負けているが、大跳びの死角はあっても、うまく外に回れた際のヒルノダカール(母の父メジロマックイーン)は軽視できない。