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【新潟2歳S】GI馬を多数輩出! 過去好走馬から見えてくる傾向とは?(無料公開)

  • 2019年08月18日(日) 18時00分
 8月25日、今年の2歳重賞の第2弾「新潟2歳S」が行われる。数々のスターホースを輩出してきた「飛躍の舞台」として知られる当レース。

 過去のレースを振り返ると、芝外回り1600mの条件になった2002年以降では、GI馬が6頭誕生しており、昨年の覇者ケイデンスコールも同じ左回りのGI・NHKマイルCで2着と善戦したのは記憶に新しいところ。

 果たして、今年の出走馬のなかに未来のスターホースの原石はいるのだろうか。

(文:幡野雄一郎、競馬ライター兼芸人)


 まずは下記の表を見て頂きたい。現条件下になって以降、その後GIを制した馬は6頭を数える。

馬ラエティBOX


 これら後のGI馬となる6頭と過去10年間で馬券圏内に入った30頭を含む、全33頭(ジャスタウェイ、ハープスター、イスラボニータは両方に含まれる)の新潟2歳S以前の成績を見比べてみると、多数の馬に共通するポイントが見えてくる。

距離短縮組は不利な傾向に


 前走から距離短縮で馬券に絡んだのは全33頭中わずか5頭。新潟競馬場は、硬くスピードの出る野芝であり、3コーナーに多少のアップダウンがある以外は平坦で、高速決着になりやすい事から、短距離を走れるスピードと瞬発力が求められるからだと思われる。

前走左回りまたは左回りの経験がある馬が優勢


 前走または以前に左回りの競馬を経験している馬が馬券に絡む確立が高く、前述の33頭中27頭が左回りを経験、そのうち過去10年の1着馬に限ると、なんと全頭が左回りを経験している。まだキャリアの浅い2歳馬にとっては経験があるということが大きな武器になるのだろう。

新潟の直線では切れ味が最重要


 新潟競馬場の特徴といえば、約660mに及ぶ日本一長い直線。1番の見所は最後の直線の熾烈な叩き合いだろう。それを制するには、切れる末脚が必要となり、過去データからもその傾向は顕著だ。先に述べた33頭中、大半の30頭が前走メンバー中、上がり3ハロン最速、もしくは2位のタイムを叩き出している。

 速い上がりを持たない馬が、ただでさえハイペースになりやすい新潟で前目で粘りきることは難しいと言えそうだ。

 これら3つの傾向を今年の出走予定馬(下記一覧、8月15日時点)に当てはめてみると…

・ウインカーネリアン
・ウーマンズハート
・エレナアヴァンティ
・カイアワセ
・クリアサウンド
・グライユル
・グランチェイサー
・サナチャン
・シコウ
・セツメンノトビウオ
・タイムマシン
・トライフォーリアル
・トロワマルス
・ビッククインバイオ
・ペールエール
・モーベット

 このうち、データ上不利な距離短縮組に該当するのは、ウインカーネリアンとカイアワセの2頭だ。

 ウインカーネリアンはデビューから2戦1800mを使われて、今回初めての距離短縮。しかし父はマイル王モーリスを輩出したスクリーンヒーロー、母の父は1998年にスプリンターズSを制したマイネルラヴであることから距離短縮がプラスに出る可能性もある。左回りを経験し、前2戦の上がりタイムも2位とその他の条件は満たしているだけに無視は出来ない。

 カイアワセは、先程挙げた3つの条件の中で左回りの経験しか満たしておらず苦しいか。

 左回りの経験に関すると、今年の出走予定馬の中で左回りの経験が無いのはグライユルただ1頭のみ。

 キャリア1戦なこともあり、走ってみたら左回り巧者ということも有り得るうえ、データ上優勢な距離延長組だが、前走の上がりタイム最速か2位を満たしておらず苦戦か。

 前走上がり3F最速、または2位を出している該当馬は下記の通り12頭もいる。

(前走上がり最速)
・ウーマンズハート
・エレナアヴァンティ
・クリアサウンド
・セツメンノトビウオ
・タイムマシン
・トライフォーリアル
・ペールエール
・モーベット

(前走上がり2位)
・ウインカーネリアン
・グランチェイサー
・サナチャン
・ビッククインバイオ

 これら12頭中、距離短縮となるウインカーネリアン以外の11頭は、前述の3つの条件をすべてクリアしており、好走条件を満たしている11頭のなかから特に注目したい2頭を挙げておきたい。

 1頭目は、モーベット(牝、父オルフェーヴル)。

馬ラエティBOX

▲モーベットの母は、牝馬重賞で4勝を挙げたアイムユアーズ(撮影:下野雄規)


 前走は6月東京競馬場、芝・左回り1600mで行われたデビュー戦。スタートで立ち上り気味になり痛恨の出遅れとなり、道中他馬よりも脚を使っているものの、直線では大外から上がり最速の脚で豪快に差しきり、 終わってみれば2着に2馬身差の快勝。その勝ちっぷりから大物感が漂う。

 2頭目は、ウーマンズハート(牝、父ハーツクライ)。

馬ラエティBOX

▲デビュー戦を3馬身半差で圧勝したウーマンズハート(撮影:下野雄規)


 前走は今回と同じ新潟1600mのデビュー戦。道中は中団外目に位置取り、直線を向くと上がり3F32.0という次元の違う末脚でライバル達を置き去りにした。勿論、上がり最速であることは言うまでもないが、上がり2位のタイムが33秒3と、1秒3もの差をつけた。 同じ新潟の舞台で、また目の覚めるような末脚が炸裂するか。

 今まで数々のスターを輩出しており、今年もハイレベルなレースが予想される新潟2歳S。真夏の新潟でスターの原石達がぶつかり合う。果たして、このなかに来年のクラシックホース、未来のGIホースはいるのだろうか。

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