【新潟2歳S】加速してからのスピードの持続力が求められるレース
現時点のスピード持続力はジャスタウェイ以上か
近年の新潟2歳Sの特徴は、知られるように前半はスローの流れから、長い直線に集中する後半勝負。最近10年のレース上がり3ハロン平均は、33秒83。馬場状態を問わず、勝ち馬の上がり3ハロン平均は「33秒04」に達する。これは切れ味というより、加速してからのスピードの持続力というべきだろう。
最近10年で3着までに快走した30頭には、上がり32秒5(30頭中最速)で差し切った13年のハープスターを筆頭に、32秒台を記録した馬が8頭もいる。予想外に馬場が渋らないかぎり、後半の加速スピード能力を重視したい。
新馬戦のあと大きく変わる馬もいるが、このコースの新馬1600mを上がり「32秒0」で快勝した牝馬ウーマンズハート(父ハーツクライ)は強気になれる。
新潟の2歳新馬戦1600mでは、2017年8月に現4歳のオープン馬ウラヌスチャームが上がり32秒0で勝った記録があるが、ウーマンズハートの記録は、切れ味勝負型の高速上がりとはちょっと違っていた。
レースの後半3ハロン(11秒1-10秒7-10秒9=32秒7)から検証すると、ウーマンズハート自身の後半600mは(10秒8-10秒3-10秒9=32秒0)に限りなく近い。一瞬の切れや鋭さで楽勝したのではなかったのである。逃げ粘って2着し、上がりも2番目タイのマルターズディオサは33秒3だった。
新潟に限らず、高速決着の多い他場の2歳戦でも近年は上がり32-33秒台は出現するが、マイルの新馬で3ハロン連続「10秒台」を刻んでの完勝は驚異の記録である。
少し渋ったぐらいの馬場なら苦にしないだろう。新潟の芝コースが重馬場になることはめったにない。
ハーツクライ産駒は晩成型のことも珍しくないが、ハーツクライの母アイリッシュダンスは新潟記念、新潟大賞典の勝ち馬であり、その父はトニービン。夏の平坦コース適性に優れるだけでなく、とくに直線の長い新潟を歓迎する。
代表産駒ジャスタウェイは、2011年の新潟1600mの新馬を1分36秒1(上がり33秒3)で圧勝し、続く2戦目の新潟2歳Sを上がり32秒6で2着に突っ込んだ。
成長力やスケール、牡牝の違いはあるだろうが、同じ新潟1600mの新馬を1分36秒2(上がり32秒0)で、ジャスタウェイと同じように2着以下を離したウーマンズハートの直線のスピード持続力は、少なくとも現時点ではジャスタウェイを上回ると考えられる。
牝馬でも完成度の高さの勝利ではない。この中間は一段と力強く動いた。母レディオブパーシャの半兄は51戦14勝のラッキーナイン(香港)。半弟には46戦7勝のティーハーフ(現9歳馬)など、一族には驚くほどタフな活躍馬が多い。
中京の重馬場で勝ってきたペールエール(父ダイワメジャー)の時計は目立たないが、この馬の後半2ハロンは推定「11秒5-11秒4」。使って大きく変わりそうな印象を与えた。モーベット以下、候補はいっぱいいるが、ここ2週の動きが光り、新馬から激変がありそうなシコウが最大の伏兵。