神戸新聞杯をデータから分析(撮影:下野雄規)
秋のビッグタイトルに向けて、3歳のトップクラスの大物が始動する神戸新聞杯。東京芝2400mと阪神芝2400mは(距離だけではなく)コース形状からもラップ適合性が高く、ダービー馬にとっては非常にイージーなレースになることが多い印象。
神戸新聞杯が現コースになって以降(2007年〜)の平均時計比較でも、ダービーが前半600m35秒70、後半600m34秒71で、トータル2分24秒9神戸新聞杯は前半600m36秒40、後半600m34秒70で、トータル2分25秒5単純計算ですが、ダービーよりスローなペースから同程度の末脚を発揮できれば勝てるレースとなっています(ダービーは不良馬場施行となった2009年と2011年を除く)。
だから基本はガチガチ。左回りと右回りの違いという話もあるのでしょうが、そんなことはまったく考えなくても良いと思います。
■ダービー馬の神戸新聞杯成績
2008年1番人気1着ディープスカイ
2010年1番人気2着エイシンフラッシュ
2011年1番人気1着オルフェーヴル
2014年1番人気1着ワンアンドオンリー
2017年1番人気1着レイデオロ
2018年2番人気1着ワグネリアン
6戦【5-1-0-0】
しかし今年はダービー馬のロジャーバローズが右前浅屈腱炎で引退してしまい、不在となる模様。ダービー馬がいない年の神戸新聞杯は別路線組が台頭してくるようなイメージも少なくはないのですが、さにあらず。
■ダービー馬不在年、ダービー最先着馬の神戸新聞杯成績
2007年5番人気2着アサクサキングス
2009年3番人気2着リーチザクラウン
2012年1番人気1着ゴールドシップ
2013年1番人気1着エピファネイア
2015年1番人気2着リアルスティール
2016年1番人気1着サトノダイヤモンド
6戦【3-3-0-0】
ダービー馬不在の年もダービー最先着馬の活躍は凄まじく、先のダービー馬成績と合わせて、ダービー最先着馬の神戸新聞杯成績は12戦【8-4-0-0】、勝率67%、単勝回収率も125%に加えて、複勝回収率も140%。まったく非の打ちどころのない成績となっているのです。
つまりは極論すると、神戸新聞杯はダービー最先着馬を買っておけばOKというレース。ならば今年の神戸新聞杯はダービー4着のサートゥルナーリアよりも、同3着ヴェロックスで決まりということなのでしょうか。いえいえ、ここまではほんの序章。ここから先が各馬のラップ適性も含めた本格的な予想ということになります。今年の神戸新聞杯は『指定勝負レース』になる予定ですので、ウマい馬券での最終結論にはぜひご注目ください。
■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。