前哨戦を快勝したダノンスマッシュ(撮影:高橋正和)
古澤秀和です。今週は私がこのコーナーを担当させて頂きます。
先週は神戸新聞杯、オールカマーと2つの重要な重賞が行われましたが、その2つとも的中する事ができました。神戸新聞杯はサートゥルナーリアの馬体の変化を把握していれば距離不安なしと言い切れましたし、オールカマーはスティッフェリオの馬体良化と展開を考えれば取りやすい馬券だったと思います。ウマい馬券の予想を見て的中された方はおめでとうございます。
さて、今週は秋のGI第一弾・スプリンターズS。グランアレグリア、ステルヴィオの回避は残念ですが、前哨戦を快勝したダノンスマッシュやタワーオブロンドンなど有力馬は揃っているので、楽しみな一戦です。このレースに出走を予定している有力馬について、馬体面から考察したいと思います。
【馬体考察】
セイウンコウセイ(父アドマイヤムーン 母父Capote) 前走のキーンランドC時はまだ体に締りがありませんでしたが、一度使われて無駄肉が取れ、筋肉の張りも増してきました。急上昇と言っても良いでしょう。実績はもちろん上位ですし、脚質にも自在性が出てきました。このデキなら好勝負に持ち込めても良いでしょう。
ダイメイプリンセス(父キングヘイロー 母父ダンスインザダーク) 前走時はどっしりと見せていて、これなら勝ち負けだろうと思っていましたが、案外伸びず。難しいところがあるようです。その点、今回は乗りなれた秋山騎手で前進が見込めるでしょう。馬体は相変わらずトモの肉付きが良いですし、四肢にも柔らかさがあります。巻き返しは十分あるでしょう。
ダノンスマッシュ(父ロードカナロア 母父ハードスパン) 前走時はパドックを歩いているのを見て緩く映りましたが、それでも外を回りながら完勝。強い競馬でした。前走時よりも馬体が研ぎ澄まされ、無駄肉がなくなって立ち姿も力強くなりました。特に飛節の強さに好感を覚えます。これならこの馬の持っている切れ味を十分に発揮できるでしょう。
タワーオブロンドン(父Raven's Pass 母父Dalakhani) 前走時よりもグンと馬体が絞れ、筋肉の強度も上がっています。ピークと言えるデキでしょう。筋肉に良い意味での硬さが出て、正にスプリンターという馬体になっています。能力を考えても当然好走できるでしょう。
ディアンドル(父ルーラーシップ 母父スペシャルウィーク) 腹が巻き上がり気味に見えますが、牝馬なので問題ないでしょう。トモの張りが良く、筋肉量も3歳牝馬としては十分。中山コースも問題ないでしょうし、斤量差を生かせばチャンスは十分にあるでしょう。
ファンタジスト(父ロードカナロア 母父ディープインパクト) 前走時よりも少し絞れてきた印象です。元々1200mなら能力はある馬。筋肉量が多く、パワーがあるタイプなので、時計が掛かるようならチャンスはありそうです。
ミスターメロディ(父Scat Daddy 母父Deputy Minister) 前走時よりもどっしりして迫力が出てきました。特にトモの肉付きが良くなったのには好感を覚えます。飛節が力強く、後肢の力感が良いですし、この馬の力は出せそうです。
モズスーパーフレア(父Speightstown 母父Belong to Me) 前走は休み明けでプラス26キロの馬体重。さすがに緩かったです。レースでは内に速い馬がいて3番手で運びましたが、良いところはあったと思います。今回はグンと馬体が締まって良くなっていますし、コースも相性の良い中山コース。変わり身は十分でしょう。
ラブカンプー(父ショウナンカンプ 母父マイネルラヴ) 大敗が続いていますが、殿の張りや背中の感じが良くなって、好走した昨年と変わりないくらいの状態まで来ました。あとは精神面でしょう。
リナーテ(父ステイゴールド 母父Orpen) トモの筋肉が増して、どっしりと重戦車のような感じになってきました。急上昇と言っても過言ではないでしょう。ペースが速くなって末脚が生きる流れなら一発あってもおかしくないでしょう。
レッツゴードンキ(父キングカメハメハ 母父マーベラスサンデー) 休み休みにしか使えませんが、この馬なりに良い仕上がりです。特にトモの肉付きなんかは一度使ってここに向かう馬の様。脚元もスッキリしていますし、能力的にも好勝負は可能でしょう。
【総括】
良い馬が揃いましたが、写真ではタワーオブロンドン、ダノンスマッシュが一枚上の印象。あとは当日の馬場と枠順などで上げ下げすれば、的中することはそれほど難しくなさそうなレースです。結論はウマい馬券で!
■プロフィール
古澤秀和(ふるさわひでかず)
2002年に雑誌「競馬王」でデビューしたのを機に、プロ予想家としての活動を開始。中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。必ず開催競馬場に足を運び、生の馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。それを基盤としながら、血統やレースリプレイ、過去データ分析などのファクターを絡めて予想している。主に各馬の「適性」を見極めることに注力し、「適性外の条件で惨敗」→「適性条件で巻き返し」というパターンに重点を置いた予想を展開。これにより、複勝10倍を超えるような穴馬も高頻度でピックアップしている。