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【カメラマン痛恨の失敗作】「ハープスターを信じ抜いたオークスで、まさかの副産物」/(4) 宮原政典カメラマン 無料公開

  • 2019年10月06日(日) 18時01分
ゴールの瞬間――競馬の最高潮の一瞬を切り取るレース写真。勝負の迫力を表現することこそ、プロのカメラマンの腕の見せ所です。しかし、人気馬が勝つとも限らないのが競馬の難しさ。ファインダーからは見えないノーマークの馬が差し切った……などなど、プロ泣かせのレース展開も多々あります。

そこで今回、4名のカメラマンが週替わりで登場。普段は目にすることのない、痛恨の失敗作をご紹介いただきます。成功写真の陰にある、涙ぐましい努力の欠片たち。競馬の最前線の熱量を、ぜひ感じてください!

【ルール】
ご紹介いただく写真は、下記のテーマに沿った3本
(1) GIレースで失敗してしまった1枚
(2) 秋競馬のレースで失敗してしまった1枚
(3) 逆に、自分だけが撮れた会心の成功作を1枚

【今週登場するのは…】
競馬の世界で長く活躍中、netkeiba.com初登場の宮原政典カメラマン


(1.GIの失敗作) ヌーヴォレコルトが勝った2014年のオークス


馬ラエティBOX

【失敗作】ハープスターの豪脚を信じて、最後まで撮り切ったが…


 2014年のオークスは、撮り始めからゴールまで、勝ち馬(ヌーヴォレコルト)が一枚も写っていなかったという失敗作です。

 なぜそうなってしまったのか……その理由は、ハープスターが桜花賞で見せた豪脚にあります。あの脚を目の当たりにして、直線の長い東京ならば、多少厳しい位置からでも絶対に届くだろうと思いました。

 実際、オークスでは、直線に向いた時点でほぼ最後方の大外。さすがにちょっと後ろすぎるかな…とは思いましたが、クビ差、アタマ差くらいで差し切れるだろうと信じて、ひたすらハープスターを追ったんです。

「ちょっと勢いがあやしいな、大丈夫かな…」と思い始めたのが坂を上がったあたり。でも、そこからカメラを内に振ったところで間に合わないんですよね。もともとハープスターの脚を信じて決め打ちしたところもあるので、このときは最後まで撮り切りました。

 ご存じの通り、のちにハープスターは落鉄していたことが判明。おかげで(?)というのもなんですが、写真をご覧の通り、蹄鉄が外れてパカパカしている状態がしっかり写っていました。

 勝ち馬は一枚も撮れませんでしたが、この写真はこの写真で重宝されたのを覚えています。

(2.秋競馬での失敗作) キタサンブラックが勝った2015年の菊花賞


馬ラエティBOX

【失敗作】“逆光”に苦しめられる秋の京都


 秋の京都ならではの逆光と自分自身の思い込みで、勝ち馬(キタサンブラック)を捉えられなかったのが2015年の菊花賞。

 写真だとちょっとわかりづらいかもしれませんが、秋の京都はとにかく逆光がきつくて、ファインダーのなかの馬が真っ黒に見えるんです。勝負服も馬の色も、影でつぶれてしまっているから何がきているのかわからない。

 そんななか、このときは薄っすらとサンデーレーシングの勝負服が見えて、「あ、リアルスティールがきたんだな」と思ってシャッターを切ったところ、内からスルスルとキタサンブラックが伸びてきて…。急いでカメラを内に振ったんですが、完全に見切れてしまいました。

 逆光という弊害ももちろんありましたが、自分自身、キタサンブラックは完全にノーマークでした。このレースは、ちゃんと撮れているカメラマンがけっこういたので、「キタサンはこないだろう」という自分の思い込みを反省しましたね。

(3.会心の成功作) ディープブリランテが勝った2012年のダービー


馬ラエティBOX

【会心作】思い入れが功を奏したダービー


 東京の直線は、内外離れての攻防となることが多いので、カメラマン泣かせのコースです。

 そういった場合、外から差してきている馬のほうが大抵は脚色がいいので、この2012年のダービーも、本来なら外のフェノーメノにカメラを振るところでしたが、このときばかりはディープブリランテしか見ていませんでした。

 なぜなら、自分がペーパーで持っている馬だったから。こんな理由でスミマセン(苦笑)。

 2015年の菊花賞は“思い込み”で失敗しましたが、このダービーでは“思い入れ”が奏功しました。

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