食感は“もちもち”噛めば噛むほどそばの味わい
ホッカイドウ競馬の約7カ月というシーズンはあっという間で、11月7日の道営記念まで残り4週となった。北海道では、お盆を過ぎると季節は秋へと早変わり。さらにその秋も一瞬のことで、今の時期は日が落ちると一気に気温が下がって、もう冬だ。
先日、エーデルワイス賞の取材で門別競馬場へ。寒くなって迷うことなく食べたくなるのが『いずみそば』。日高門別にある、そばの名店『いずみ食堂』が門別競馬場のポラリス☆スタンドに入ったのは2014年4月のシーズン開幕。もう5年も前のことになる。「いずみ食堂のそばが実店舗まで行かなくても競馬場で食べられる」と狂喜乱舞……というほどではないものの、心躍らせたのはボクだけではなかったはずだ。
門別競馬場ポラリス☆スタンド、いずみそば
『いずみ食堂』は、門別競馬場の横を走る国道235号線を浦河方面に向かって7〜8km走ったところにある。日高地方の牧場関係者にとっては日常といえる場所だが、道外から門別競馬場に競馬を見に行く競馬ファンや関係者にとっては、新千歳空港から門別競馬場に行って、さらにその先。わざわざ足を伸ばさなければならないところにある。それゆえ競馬場で、いずみ食堂のそばが食べられるようになったのはありがたいことこの上ない。
実店舗のいずみ食堂は、昼時ともなれば牧場関係者で賑わうが、さらに静内のJBBA北海道市場でのセリ期間中ともなれば、牧場関係者だけではない競馬関係者で一杯になる。それほど競馬関係者には知られた存在だ。
いずみ食堂は、まずメニューの多さに圧倒される。年に一度か二度、行けるか行けないかの我々は、そのメニューを読み解くのに悩まされることになる。が、さすがに競馬場内の店舗『いずみそば』は限られた厨房スペースゆえ、なんでもかんでもとはいかない。競馬場のメニューは、基本はかけそば(550円、冷たいもりそばもある)で、あとは月見(玉子)、山菜、きのこ、えび天、きつねなどのトッピングを選ぶことになる。もちろん組み合わせも可能だ。
で、この日食べたのは、きつねきのこそば(850円)。
大きな揚げに、きのこの存在感もたっぷり
最近、そばのトッピングでマイブームが、きつね。そばのきつねといえば、甘辛く煮てあるのがほとんどだが、その甘辛具合がお店によってさまざまなのが楽しい。
のみならず、まずは出汁を味わい、次にきつねの味付けを確認、そして出汁をたっぷり染み込ませたきつねをじゅわっと噛み締め、そのマリアージュを楽しむ。きつねの味付けが濃すぎれば出汁が負けてしまうし、逆にきつねの味が薄ければきつねそばそのものとしての満足度が少ない。
果たして、いずみそばのきつねそばは……。きつねの甘辛具合がほどよく、きつね+出汁を味わうと、1+1=3くらいになる(褒め過ぎか)。そしてきのこも、なめ茸やしいたけがちょろっと入っているようなものではなく、ひとつひとつが大ぶりで存在感たっぷり。
そしていずみ食堂は、そばそのものが独特。普通のそば屋さんで食べるそばとは一線を画す。一線を画すどころか、まったく別の種類のそばといっていい。
不揃いの手打ちそば。ねじれて凹凸があるぶん出汁がよくからむ
ご覧の通り、麺が不揃いで、そばの実のブツブツも確認できる、いわゆる田舎そばだ。ごわごわしてそうな見た目だが、実際の食感は“もちもち”。当然のことながら噛めば噛むほどにそばの味わいが出てくる。
さらに。競馬場のメニューは限られていると書いたが、実は、実店舗にはなくて競馬場でしか食べられないというメニューもある。それがコレ。
門別競馬場でしか食べられない冷やし坦々そば
夏季限定の冷やし坦々そば。ラー油が効いていて、辛いもの好きにはたまらない味だ。ほかにシーズンを通しての競馬場限定メニューには、ゴマダレの豚しゃぶそばもある。ちなみに、実店舗にも競馬場にも、一応メニューにはうどんもあるが、うどんを食べている人はほどんど見たことがない。
ホッカイドウ競馬もいよいよ終盤。急げ、門別競馬場へ。