今年の「ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)」で来日初勝利を挙げたミカエル・ミシェル騎手。以前、フランスに戻ったミシェル騎手から動画メッセージをいただきましたが、今回はその第2弾!
凱旋門賞直前に予想をしていただきコラムで掲載しましたが、その振り返りをしていただきます。◎だったエネイブルは2着。勝ったのは、▲に推していたヴァルトガイストでした。
地元のジョッキーとして勝因をどう分析するのか? 予想した際の動画と回顧インタビューをお届けします。
(取材・訳・撮影=高橋正和)
→前回の動画メッセージはこちらから→凱旋門賞予想コラムはこちらから
【レース前のミシェル騎手の予想】※()内は実際の着順
◎エネイブル(2着)
〇マジカル(5着)
▲ヴァルトガイスト(1着)
△キセキ(7着)
△フィエールマン(12着)
△ブラストワンピース(11着)
エネイブル:彼女が一番です。
マジカル:エネイブルの最大のライバルです。
ヴァルトガイスト:フランスの最強馬だと思います。
キセキ:私は彼の落ち着いた平静さが好きです。
フィエールマン:緩急のスピードの変更が上手です。
ブラストワンピース:フィエールマンのライバルで、強いです。
不良馬場にしてはハイペースに
皆さんこんにちは、ミカエル・ミシェルです。
私の凱旋門賞の感想です。まず、勝ったヴァルトガイストについて。
私は凱旋門賞予想の際、彼は今のフランスの最強馬だと思うと申し上げました。スピードの変更が本当に上手い馬、それがこの2019年の凱旋門賞に本当にチャンスのある条件だったのでしょうか。
結局、それがチャンピオンのエネイブルを破るという驚愕を引き起こすことになったのだと思います。しかし、それで説明が出来るのかは私にはわかりません。
レースのマジックでしょうか? それは前もってわかるものではありません。後付けであれこれ言うのは簡単ですし、テレビの前で意見するのも簡単なことです。
レース直後は、エネイブルに対するガッカリの方が大きかったです。競馬場は2、3分ほど沈黙したような気がしました。
ただ、この敗退後だって、エネイブルが世界の馬達の中で最も偉大なチャンピオンであることに変わりはありません。その(沈黙の)時間の間、私はレースで何が起こっていたかを考えていました。
あの不良馬場にしてはハイペースだったでしょうか。それが1つの説明なのかも知れません。多分ですけど。
出走馬達の何頭かが、先行力とその粘りが恐れられて評判だったゴドルフィンの馬(ガイヤース)の直後に付けたいと思っていた事実が、彼を敵と見なす何頭かがとった戦術を説明できるでしょう。
結果、彼らはレースの最後にその代償を払わなければならなくなり、チャンピオンのエネイブルでさえ最後の50mで失速の憂き目に遭いました。
ヴァルトガイストはレースを追走するのに苦労していましたが、彼だけがフォルスストレートでライバル達よりも脚を残しているように見えました。
そしてその通り、ヴァルトガイストは最後の最後にエネイブルを交わしました。上手く彼の能力を把握し管理していた鞍上のブドー騎手は見事なレースをしていました。
ヴァルトガイスト、騎手、調教師、チームの皆さん、おめでとうございます。
▲勝利したヴァルトガイスト陣営を祝福するミシェル騎手