スポニチ期待の“持ってる男”高木翔平記者(左)と、中央も地方もオールマイティにこなす紅一点・秋田麻由子記者(中)と、スポーツ報知の気鋭TM・坂本達洋記者(右)。
GI馬10頭が共演する今年の天皇賞・秋。稀に見る好メンバーのなかでも、やはり注目はアーモンドアイ、サートゥルナーリアのロードカナロア産駒2頭だろう。今回は日刊紙の競馬記者3名にご登場いただき、その「2強対決」の注目点をうかがった。現場を知る記者たちは、どちらを中心に考えているのだろうか?(取材・文・構成=緒方きしん)
豪華絢爛! 天皇賞・秋は2019年の王者決定戦だ!
スポーツニッポン・高木翔平(以下、高木) まさに、豪華絢爛! すごいメンバーが揃いましたね。
スポーツ報知・坂本達洋(以下、坂本) GI馬が10頭も出走。10月にして、早くも2019年の決定戦と呼べる一戦です。
高木 アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンプレミアム、ワグネリアン、スワーヴリチャード、アルアイン、アエロリット、ウインブライト、マカヒキ、ケイアイノーテック…出走するGI馬を並べただけでワクワクします!
坂本 ただ、勢いという意味ではちょっと物足りない馬も多い。スティッフェリオなど気になる新興勢力はいるものの、あくまで「2強対決」と捉えている人が多いのではないでしょうか?
スポーツニッポン・秋田麻由子(以下、秋田) 現在、天皇賞を連覇中(昨年秋にレイデオロ、今春にフィエールマンで制覇)のルメール騎手が、大本命・アーモンドアイに騎乗。「天皇賞」の3連覇なるか? という点も見どころかな。
高木 今年のGIでは一番メンバーが揃う、面白いレースになりそうですよね。
秋田 ここを勝った馬が年度代表馬になると思っていいかもしれないね。私は、その筆頭候補はなんといってもアーモンドアイだと思ってるよ。
豪華メンバーが集結する天皇賞・秋のなかでも、アーモンドアイの力は抜けていると話すスポニチ・秋田記者。
今も成長著しいアーモンドアイ。天皇賞・秋制覇へ視界は良好
秋田 ここ最近のなかで、アーモンドアイは類を見ないほどの名馬だと思ってる。身体の柔らかさがすごい。昨年のジャパンC以降ここまで、あの衝撃に比肩するインパクトを持つレースはなかったんじゃない?
坂本 前走の安田記念(3着)も、負けて強しという内容です。むしろ、マイルという舞台であの末脚を使えるのを見て、さらに進化しているな…と。改めて、底知れない素質と伸びシロを感じました。
秋田 あれだけ大きくバランスを崩すような不利を受けてもしっかりと立て直して、3着までこられたのはすごいよね。
坂本 ジャパンCのように前での競馬もできる。秋華賞や安田記念のように中団後方からの競馬もできる。マイルでは挽回が難しいようなロスに見舞われても、2000mの舞台では勝ちきれる。この舞台では、まさに死角なし! アーモンドアイの勝利は、盤石なものかと思います。
高木 率直に、春より強くなってると思います。夏に天栄に行って、アーモンドアイの様子を見て来ましたが、素晴らしかった。
秋田 私も8月に天栄に行ったけど、見た目がスリムになったよね。今年はいつもより天栄で負荷をかけている。その負荷に耐えられるというのも、体質的に強くなった裏付けだと思う。
高木 多くの人が意見一致しているところですよね。スタッフの方々も「どっしりしてきた」「馬が違う」と絶賛。精神面での成長も著しいようです。
秋田 国枝先生は、余計な肉が落ちたアーモンドアイを見て「良い意味で枯れた」と、顔をほころばせてたよ。古馬らしい身体つきになった彼女が、さらに進化した走りを見せてくれるかもしれないね! ただ、もともとの状態で抜群の結果を残してきた馬だけに、この変化がどう働くか? という懸念はあるかもしれないけど…。
坂本 私は、この変化をポジティブに捉えています。国枝先生がおっしゃるには、ベストの条件は1800〜2000m。不安要素は、見当たりません。
秋田 そうだね。私もアーモンドアイが大本命だと思うな。高木くんも同意見では?
高木 いえいえ、僕はまだ、アーモンドアイが絶対的だとは思っていませんよ!
「僕はまだアーモンドアイが絶対だとは思ってません」と、アーモンドアイ絶対論を危険視したスポニチ・高木記者。“持ってる男”の眼鏡にかなったのは果たして…!?
あの穴党を唸らせた!? 成長著しいサートゥルナーリア
高木 僕はサートゥルナーリアを推します。春までは長く良い脚を使うタイプだった彼が、神戸新聞杯では高速馬場にしっかりと対応。抜群の切れ味を見せてくれました。高速馬場でアーモンドアイが繰り出す超絶タイムについていける馬に成長しましたよ。アーモンドアイよりも前でレースが運べたら、一発あるんじゃないかと。
秋田 確かにアーモンドアイを倒すなら、サートゥルナーリアだと思う。未対決の新興勢力じゃなければ、あのアーモンドアイを追い詰めるのは難しいんじゃないかな。
坂本 スムーズにいけば、反応やレースセンスは本当に優れた馬ですよね。ただ、条件不問なアーモンドアイに比べ、弱点も多い印象があります。
秋田 ダービーの敗北は、テンション面が大きかったかなと思う。レーン騎手は当時勝ちまくっていて、まさにシンデレラボーイだったけど、そういう事態に直面した時の引き出しはまだ少なかったのかなぁ。その点で、今回の鞍上はスミヨン騎手。2014年にはサートゥルナーリアの半兄・エピファネイアでジャパンCを制覇している、フランスを代表する騎手です。気性の荒さで知られたエピファネイアをあそこまで制御できたというのは大きいよ。
坂本 あのダービーは、ルメールがいたらなぁ…とは思いましたね。神戸新聞杯後にも角居調教師が「まだ難しいところのある馬」とコメントしているように、気性面では課題が残るはず。だからこそ、この血統の背中を知る鞍上を手配できたというのは心強さがあります。
高木 3歳馬だけに、成長力にも期待しています。神戸新聞杯の走りで「アーモンドアイと同じ土俵に立てる」と確信しました。万哲さんもレース後に「久々に、良いものを見た…」と呟いていましたから(笑)。
秋田 なるほど、穴党をも唸らせる走りだったというわけか(笑)。血統的にも成長力あることは、兄たちが証明してるもんね。今年の3歳世代は、全体としてのレベルは平均くらいかと思うけど、現役の上位3頭(サートゥルナーリア、ダノンキングリー、ヴェロックス)は抜けて強いと思う。来年の競馬がどれくらい盛り上がるかはこの3頭にかかっていると思っているから、その点でも今回のサートゥルナーリアには頑張って欲しいね!
死角の少ないアーモンドアイと、成長力を秘めたサートゥルナーリア。果たして、本当にこのロードカナロア産駒2頭で決着するのだろうか? 次回は、そんな「2強」に迫る有力候補を探していく。(次回は23日18時公開予定)
報知・坂本記者は「(サートゥルナーリアの)鞍上にこの血統を知るスミヨン騎手を確保できたのが大きい」と、ひそかに期待を寄せている様子。
競馬史に刻まれる対決、アーモンドアイvsサートゥルナーリア。二強の取捨に必要な3つのカギとは?