▲浮き彫りになった3日開催のリスク、中長期的に考える競馬開催の在り方 (C)netkeiba.com
2019年10月は、競馬に限らずスポーツ全般と気象災害の関係について、考えさせられることが多い月となった。
10月12日から13日にかけて東日本を通過した超大型の台風19号は各地に甚大な被害をもたらし、中央競馬も東京開催が2日連続で中止。折あしく、3日連続開催だったため、当該週だけでは代替競馬を消化できず、13日の代替開催が21日にずれこんだため、出馬投票がやり直しとなった。
その後も開催に直接の影響はなかったとは言え、台風20号、21号が相次いで本州に接近。10月下旬といえども、台風のリスクが存在していることを示した。
かと思えば、10月21日の2020年度開催日程発表を前にして、同年の東京五輪の男女マラソン、競歩の札幌開催というまさかのプランが国際オリンピック委員会(IOC)から発表された。「いかに暑熱対策を打っても、東京の開催は無理」という判断に基づくが、時期的にJRAの札幌開催ともろに重なるため、様々な影響は避けられない。
競馬施行者には、台風のような突発事に際して、開催の可否をどう判断するかはもちろん、炎暑を含めた気象災害の多発というリスクを踏まえて、中長期的に競馬開催のあり方をどう組み立てていくかが問われる。
遅かった中止決定=台風19号を前に
台風19号は、強烈な勢力を保ったまま東日本を縦断。昨今は進路予測の精度が高く、気象庁は10日(木)の段階で記者会見を開くなど、異例の対応で被害予防への取り組みを呼びかけた。
これを受けて、進行中だったプロ野球のクライマックスシリーズやサッカーJリーグ、ラグビーW杯でも、10日の段階で次々に週末の試合の中止が発表された。野球やサッカーは「順延」だが、ラグビーは日程や会場確保の問題から3試合が取りやめとなり、0-0の引き分けとして処理された。
ところが、JRAは10日正午から通常通り出馬投票を受け付け、翌11日午前10時過ぎに12日分の枠順を発表。競馬専門紙も流通ルートに乗った。筆者は10日夜、一般のファンから「土曜の開催は無理では?」と質問を受けており、中止は常識的な判断だったと言うべきだろう。
だが、11日午前になってもJRAから中止の通知はされず、個別に問い合わせたところ、「JRの計画運休の発表待ち」という答えが返ってきた。JR側の発表は11日午前10時45分で、それを受けた中止判断はさらにずれ込んだ。
13日の開催の可否の判断が難しかった点や、代替開催の場合に日程が重なる地方競馬との調整を要することもあって、正式な中止発表は結局、午後2時半。ここで13日の東京中止も決まったが、一方で12日の京都については判断を当日に先送りした。
発売所休止 ファン向け告知に課題
21日行われたJRAの理事長定例記者会見で、筆者は中止決定に至る過程について質問した。中村嘉宏理事は「12日の東京は無理、とは認識していた」としつつも、「できれば13日(の可否)も併せて発表したかった」と答えた。3日開催だった点でも対処が難しかったという。