
▲ドルチェリアとキングヴァラール、それぞれの騎乗を振り返ります。
前回に引き続き、10月のレース回顧です。取り上げるのは、「コンスタントにやれる力はあると思う」というドルチェリア、「思った以上に終いの脚がある」というキングヴァラールの2頭。どういう競馬をすれば、それぞれの持ち味が生きるのか──その手応えと感触を語ってくれました。(取材・文:不破由妃子)
違う競馬をしてみるのもひとつの手やと思うけど…
──今週も10月のレース回顧です。笹田厩舎のドルチェリア(10月12日・京都12R・3歳上2勝クラス・6番人気2着)は、2度目の騎乗で2着。
小牧 ああ、力はあるんやけど、難しい馬やねぇ。2、3着には堅実にきてくれる馬なんやけど…。逃げでもしたらチャンスがあるのかな。
──前走は好位からでしたね。この馬の場合も、モンサンイルベントと同様というか、勝った馬(ベストタッチダウン)が持ったままのものすごく強い競馬をして。
小牧 うん、あの馬は強かったねぇ。どうにもならん着差(0.5秒差)やったわ。
──小牧さんご自身は、8月の小倉で初騎乗。そのときも、コンマ3秒差5着と際どい競馬でした。レース後、「いつでも勝てそうな馬やね」とコメントされていましたよね。
小牧 あのときは内枠からロスなく行けたんやけど、直線でちょっと詰まってしまったんですわ。それでいて僅差やったからね。コンスタントにやれる力はあると思う。
──メンバーや枠の並び次第かと思いますけど、前に行ったほうが持ち味が生きるのか、それとも中団から末脚を生かしたほうがいいのか。
小牧 ドルチェリアは前に行けるね。好位で競馬をしたほうがいいと思う。
──難しいと言われるエンパイアメーカー産駒ですよね。そんなエンパイア産駒を幾度も好走させてきた小牧さんですが、ドルチェリアにも、ならではの難しさは感じますか?
小牧 うん、ちょっとうるさいけどね。エンパイアメーカー産駒はゲートが難しい馬が多くて、この馬も前はうるさかったみたいだけど、今はだいぶいい感じ。でもね、あんまり前に顔を向けられない。突っ掛けたりするからね。そのあたりを工夫すれば大丈夫。
──小牧さんが調教のベースにしている笹田厩舎の馬ですから、調教からみっちり仕上げていくこともできるのでは?
小牧 いや、ドルチェリアには1、2回しか乗ったことがないから。1頭の馬にずっと乗るとか決まっているわけではないし、厩務員さんが「今日は小牧さんに乗ってもらいたいな」とか、その時々で頼まれて乗っているから。どの馬に乗るかについては、僕はノータッチ。厩舎側が決めてくれてる。
──そうなんですね。この馬絡みでは、こんな質問がきています。「ドルチェリアの勝負服、すごく小牧騎手に似合っているなぁと思って見ています! 小牧騎手は、個人的にデザインが気に入っている勝負服とかありますか?」。
小牧 ドルチェリアの勝負服は、確かに鮮やかでいいよね。でも、勝負服のデザインは、あんまり気にしたことがないなぁ。あ、社台(レースホース)の黒と黄色の縞々のデザインは好きやで。もう長いこと着てないけど(苦笑)。そういえばこの前、社台のパーティーに行ってね。「乗せてください」ってお願いしてきました。
──そういう場での一言がどう繋がってくるか、この世界はわかりませんからね。続いてはキングヴァラールについて。「太論を読んで期待していましたが、前走(10月19日・京都7R)は6着。それでも最速の脚を使っていましたし、引き続き期待していてもいいですか?」という質問がきています。※キングヴァラールは、この取材後の11月3日・京都7Rに出走。ここでも最速の上がりを使って、後方から7着(10番人気)に追い込んでいます。
小牧 馬場と展開次第やねぇ。前には行けないし、もし強引に行かせたとしたら、あの脚は使えんからね。終いの脚は思った以上にあるから、終いに賭けて一発を狙う…っていうところかな。そういう競馬が一番持ち味が生きると思う。もちろんね、メンバー次第では、違う競馬をしてみるのもひとつの手やとは思うんやけどね。
──そういえば、似たタイプのイチザティアラは、この前(10月12日・京都6R・7番人気9着)先行して珍しく崩れましたね。
小牧 そう、わかるでしょ?不良やったし、前に行く馬もいなかったから、新味を出してみようかなと思って前に行ったんやど、やっぱりダメやった。もちろんそれで変わる馬もいるけど、もっと着順を下げてしまう馬もいるから。ひとつでも上の着順に持ってくるにはどうすればいいか、僕もいろいろ考えながら乗ってんねんけどね。

▲「僕もいろいろ考えながら乗ってんねんけどね」