早期デビュー馬、人気に応えられなかったあとのリカバーはどの程度きく?(須田鷹雄)
ドラフト戦略上興味深いデータも
11月9日、今年のPOGで人気最上位の1頭だったシルヴェリオが初勝利をあげた。一時は来年のイケてなかった列伝入りもあるのではと恐れられたが、勝ってみれば4馬身差の快勝だった。
この勝利がきっかけでふと思ったのが、ドラフト時に速攻タイプの人気馬に飛びつくことのメリット・デメリットである。ドラフト時には移動の早い馬、入厩している馬、稽古で動いている馬が人気になりやすいが、人気になりすぎる面もある。もし新馬戦で結果を出せなかったときにはどの程度のリスクが待っているかを客観的に見てみたい。
ドラフト時の人気というのは指標化できないので、今回は「6〜7月の新馬戦で1〜3番人気に推されたが4着以下」に該当する馬を対象にしてみたい。2014〜18年の5シーズンで401頭いる。
そのうち年内に再度出走した馬は364頭。勝ち上がった馬は128頭で勝馬率は35.2%。401頭を分母にしても31.9%が勝ち上がっている。ベルラップ、アサクサゲンキ、シェーングランツのように重賞を勝った馬もいる。
3歳6月までということだと対象馬のほとんどにあたる393頭が出走し204頭が勝ち上がり。勝馬率は51.9%で401頭に対しても50.9%。
ちなみに、キャロットファームとシルクレーシングの馬はそれぞれ14頭中7頭なのでほぼ全体と同じ比率。それに対しサンデーレーシングは12頭中実に10頭が勝ち上がっているが、この3クラブを合計すると60%なので、他の馬とそう大きな差があるわけではない。
ノーザンファーム生産の個人馬主馬(オーナーズも除く)はセール馬が29頭中20頭勝ち上がり。それ以外(預託繁殖の仔など)は6頭中3頭だ。
さらに「ノーザン系クラブ、ノーザンのオーナーズ馬、ノーザンファーム生産馬」を除いた残りのグループはというと、312頭中151頭勝ち上がりで勝馬率48.4%。5000万円稼ぐ馬は年1頭くらいしか出ないが、勝ち上がり率はノーザン系と非ノーザン系でそう変わりがない。
以上を見てみると、
1.スベったあともまあまあリカバーはきく
2.そもそもデビューが見えている馬ならば期間内2走がほぼ保証
3.情報の少ない個人馬主馬は早期デビュー馬を頼るのもアリ
4.「非ノーザン馬の早期デビュー」を狙うのもアリ
個人的には4がドラフト戦略上興味深いかと思う。今回は新馬で上位人気・4着以下だけを対象にしているがそれでもこの数字。すんなりいくことも含めれば、難易度の高い「ノーザン以外」こそ早期デビュー馬・デビューに向けた情報が出ている馬を頼る手はある。