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ポテンシャルの高さを感じさせるスヴァルティフォス

  • 2019年12月04日(水) 12時00分
●アスワンサンセット(牝 栗東・松永幹夫 父Pioneerof the Nile、母イブニングジュエル)

 父Pioneerof the Nileは本邦輸入種牡馬エンパイアメーカーの代表産駒の一頭で、現役時代にサンタアニタダービー(米G1・AW9f)、キャッシュコールフューチュリティ(米G1・AW8.5f)など4つの重賞を制覇。

 種牡馬としても大成功し、米三冠馬で年度代表馬に輝いたAmerican Pharoahを筆頭に、Classic Empire(16年米2歳牡馬チャンピオン)、Midnight Storm(16年シューメーカーマイルS-米G1)、レヴァンテライオン(16年函館2歳S-GIII)などを出した。

 母イブニングジュエルはディープジュエリー(15年スイートピーS-OP/父ディープインパクト)の半姉で、現役時代にアシュランドS(米G1・ダ8.5f)、デルマーオークス(米G1・芝9f)など4つの重賞を制した。そのうち3つは芝だったので、日本でも配合次第では芝向きの産駒を出せるだろう。本馬は芝・ダート兼用の中距離タイプ。先行すればしぶとさが活きそうだ。

●アーヴィンド(牡 栗東・岡田稲男 父キズナ、母メイビーフォーエヴァー)

 母メイビーフォーエヴァーは現役時代にサンジョルジュ賞(仏G3・芝1000m)を勝ち、グロシェーヌ賞(仏G2・芝1000m)で2着となったスプリンター。産駒成績は上々で、エクセルシオール(11年福島2歳S-OP/父Exceed And Excel)、プレイズエターナル(13年京阪杯-GIII・4着/父アドマイヤムーン)を産んでいる。いずれも短距離で良績を残しており、自身のスピードをよく伝えている。

 本馬は母が18歳時の産駒で、父はキズナ。現時点で父の芝平均勝ち距離は1634m。同期のエピファネイアが1626mなので、短いところに向いているわけではなく、ゆくゆくは中距離あたりに適性は落ち着きそうだが、本馬は母が強固なスピード型なので、そちらに引っ張られてスプリント〜マイル向きに出そうだ。

●スヴァルティフォス(牝 美浦・黒岩陽一 父キズナ、母ロッシェノワール)

 母ロッシェノワールは現役時代5戦2勝。大舞台に出る前に屈腱炎によりターフを去った。戦績以上に能力を感じさせる馬だったので繁殖牝馬としては成功しており、これまでデビューした2頭の産駒はギャラルホルン(4戦2勝/父スマートファルコン)、アガラス(18年東京スポーツ杯2歳S-GIII・2着/父ブラックタイド)と悪くない。

 本馬の父はキズナなので、アガラスとほぼ4分の3同血という関係だ(アガラスの父ブラックタイドは本馬の2代父ディープインパクトの全兄)。

 母は素軽い芝血統なのでマイルから2000mあたりを得意とするタイプとなりそう。骨折によりデビューは遅れたが、素質は高いと思われるのでデビューが楽しみだ。

●トキノソマリ(牡 栗東・寺島良 父マジェスティックウォリアー、母ハーランズルビー)

 母ハーランズルビーは2歳時にアルシバイアディズS(米G1・ダ8.5f)で2着となった。繁殖成績は良好で、モズベッロ現3勝クラス/父ディープブリランテ)、ヒルノアトラーニ(現2勝クラス/父マンハッタンカフェ)を産んでいる。

 本馬の父マジェスティックウォリアーはA.P.Indy系で、アメリカ供用時代の産駒にマイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)2連覇など5つのダート重賞を制したベストウォーリア、ケンタッキーオークス(米G1)、CCAオークス(G1)など4つのG1を制した名牝プリンセスオブシルマーなどがいる。

 日本における初年度産駒は現2歳で、これまでに10頭が勝ち上がっている。芝4勝、ダート6勝と意外に拮抗しているが、これからダートの勝ち星が伸びてくるはずだ。本馬もダートがベストだろう。

●レリスタット(牝 美浦・奥村武 父ブラックタイド、母オールタイムベスト)

 3代母Wilderness SongはスピンスターS(米G1)などGレースを5勝。カナダの最優秀古牝馬に選ばれた名牝だった。これにStorm Catをかけて2代母ウィルダネスストームが生まれ、これとブライアンズタイムの間に母オールタイムベストが誕生した。

 母は芝・ダート兼用のスプリンターで、1600万下(現3勝クラス)で2着という成績がある。本馬は「ブラックタイド×ブライアンズタイム」という組み合わせ。これは鳴尾記念(GIII)3着のプランスペスカと同じ。パワーと底力を感じさせる配合だ。芝・ダート兼用で1600〜1800mがベストだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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