▲現在は矢作厩舎(JRA)で研修中、坂井英光元騎手が東京大賞典のポイントを明かします (C)netkeiba.com
実際に騎乗経験のあるジョッキーに、コースの特徴や攻略方法を教えていただく「騎手のコース解説」企画。今回は地方競馬の暮れの大一番、東京大賞典が行われる大井ダ2000mを坂井英光元騎手が解説します。
坂井元騎手と言えば、11月14日に調教師試験合格が発表され、「最後の騎乗はホームの大井で…」という強い思いから、翌日15日がラストランに。現在は息子・坂井瑠星騎手が所属する矢作芳人厩舎(JRA)で研修中。矢作厩舎で学んでいること、息子への思いなど、様々な本音も飛び出します。
(取材・文=不破由妃子)
※12/22(日)に前編を、23(月)に後編を公開します。
大井のホースマンとして、一番勝ちたいレースだった
──東京大賞典といえば、競馬ファンにとって最後の砦ともいえる大一番ですが、大井のホースマンである坂井さんは、このレースにどんな思い入れがありますか?
坂井 大井のホースマンにとっては、JRAの有馬記念に匹敵するレースですよね。他場やJRAからも馬が集まるから(出走できる)枠は少ないんですけど、ハードルが高いぶん、出走できることは名誉でもあるし、もしかしたら一番勝ちたいレースだったかもしれません。
──その東京大賞典には、2005年(シャコーオープン14着)、2007年(トップサバトン7着)、2008年(ブルーホーク7着)と三度騎乗。なかでも一番印象に残っている年は?
坂井 やっぱり2008年のブルーホークですね。
──ブルーホークは、デビュー戦から一貫して坂井さんが手綱を取り、17戦12勝という好成績を残した馬ですものね。
坂井 そうです。だから思い入れがあって。カネヒキリ、サクセスブロッケン、ヴァーミリアン、ブルーコンコルドと錚々たるメンバーでしたけど、レースではハナに行ってね。
ペースも上手く落ち着いたし、むちゃくちゃ手応えが良かったものだから、4コーナーでは「ヤバい! これ勝っちゃうよ」と思った(笑)。まぁ、そのあと一瞬で抜き去られたんですけど(苦笑)。あのときほど「やっぱりJRAの馬は違うな」と痛感したことはありませんよ。それもあって、一番思い出深いですね。
▲2008年、ブルーホークで参戦した東京大賞典 (撮影:高橋正和)
▲制したのはJRAのカネヒキリ (撮影:高橋正和)
──では、さっそくコースの特徴から傾向を探っていきたいのですが、大井の2000mというと、地方競馬のなかでは圧倒的なスケールを誇るコースというのが最たる特徴ですよね。