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ヨーロッパ2歳ランキングが発表

  • 2020年01月29日(水) 12時00分

ここ20年で最高値の値を記録


 ワールド・ベスト・レースホース・ランキングと同時に、1月22日に発表されたヨーロッパ2歳ランキングの検証をお届けしたい。

 首位は衆目の一致するところのピナトゥボ(牡2、父シャマーダル、年齢は19年の表記)で、レーティングは128となった。評価の対象となったのは、9馬身差で勝利したG1ナショナルS(芝7F)である。

 第2位が、G1ミドルパークS(芝6F)を制した際に118を得たアースライト(牡2、父シャマーダル)と、G1フューチュリティトロフィー(AW8F)を制した際に118を得たカメコ(牡2、父キトゥンズジョイ)だから、1位と2位との間には10ポンドもの大差がつくことになった。

 2歳の128は、歴史的に見ても極めて高い評価だ。今世紀に入ってからの数字では、2001年のヨハネスバーグ、2007年のニューアプローチ、2010年のドリームアヘッドとフランケル、2018年のトゥーダーンホットに与えられた126を上回り、ここ20年での最高値となる。

 インターナショナル・クラシフィケーションという名称で1977年にスタートした世界規模のレーティング作成は、1978年から2歳世代も査定されることになったが、1991年のアラジ、1994年のセルテイックスイングが、それぞれ130を得て歴代の最高値となっている。更に、初年度の1978年にトロモスが129を獲得。

 この他、1980年にストームバードが、1981年にグリーンフォレストが、1983年にエルグランセニョールが128を獲得しているから、2019年のピナトゥボは歴代4位タイという評価になっている。ただし、2012年にフランケルが140を獲得した際、公式ハンディキャッパーたちは、1986年のダンシングブレーヴに与えられた141より、実質的にはフランケルの方が上との判断を下しているから、ピナトゥボの場合も、1980年代のストームバードやエルグランセニョールより、実質的には上という判断をして差支えなさそうだ。

 アラジやセルティックスイングを超えたか、となると何とも言えないが、ピナトゥボが歴史的評価を受けた2歳馬であることは紛れもない事実である。一方、2歳牝馬の首位は、G1チェヴァリーパークS(芝6F)を制した際に115を得たミリスル(父スタースパングルドバナー)となった。G1マルセルブーサック賞(芝1600m)を制した際に114を獲得したアルビグナ(牝2、父ゾファニー)、G1フィリーズマイル(芝8F)を制した際に114を獲得したクアドリラテラル(牝2、父フランケル)、G1モルニー賞(芝1200m)でアースライトの首差2着になった際に114を獲得したラッフルプライズ(牝2、父スレイドパワー)の3頭が、横並びで2歳牝馬2位となっている。

 レーティング110以上をマークし、ランキング入りを果たした2歳馬は総勢40頭。これは、ここ20年間で最も少ない数となった。すなわち、2019年の2歳世代は、層としてはかなり薄いことを意味する。このうち、4分の1の10頭は愛国のエイダン・オブライエンの管理馬だが、実は2018年版の2歳ランキングでは、オブライエン厩舎所属馬は16頭が110以上のレーティングを獲得しており、オブライエン勢の勢力縮小が、2歳世代全体の層の薄さの一因になっていると言えそうだ。

 その一方で健闘が目立つのが、オブライエンと同じ愛国を拠点とする女性調教師ジェシカ・ハリントンだ。牝馬首位のミリスル、牝馬2位タイのアルビグナに、G3フレイムオブタラS(芝8F)を2.1/2馬身差で制した際に110を獲得したカイエンペッパー(牝2、父オーストラリア)を加えた3頭がランキング入りを果たしている。ハリントン師が管理する2歳馬は2019年、25頭が勝ち上がっているが、このうち実に21頭が牝馬で、牝馬の仕上げに際立った手腕を発揮している。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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