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【特集サウジC(5)】日本馬の底力を見せつけた初のサウジCデー 日本馬出走レース回顧

  • 2020年03月01日(日) 15時00分
キングアブドゥルアジーズ

今年初開催となり、1着賞金11億、総賞金22億円の高額賞金で話題を呼んだサウジC。netkeibaではこの未知なる国際競走を1か月にわたって特集します。

最終回は世界の頂点を目指し、サウジアラビア国際競走に参戦した日本馬5頭のレース回顧を陣営の声を交えながらお届けします。

(取材・文=橋本樹理)

第1回 合田直弘さんが解説「サウジアラビア競馬の世界」
第2回 M.デムーロ騎手が証言!サウジアラビア競馬のリアル
第3回 森秀行調教師を直撃 なぜ早くから海外に挑戦したのか?
第4回 武豊、ミシェル騎手が出場 サウジ騎手招待競走現地レポート


「少しだけ足りなかった」ディアドラはまさかの2着


武豊騎手とミシェル騎手

インターナショナルJCで3位に入賞したミシェル騎手。この日は観戦に訪れていた


 前日のインターナショナルJCの余韻が残るなか、サウジCデーの幕が切って落とされた。オープニングの1Rを飾ったのは、1月に新設されたばかりの芝コースの2100mで行われるモハメドユスフナギモーターズC。今回の日本馬5頭のうち、最もチャンスが大きいと目されていたディアドラが先陣を切った。

ディアドラ

マーフィー騎手を背にパドックから本馬場に向かうディアドラ


 ゲート入りを少し嫌がったものの、スタートを五分に切り中団馬群に収まった。馬群がバラけた4角で視界が開けると、スパート。最後方から追い上げてきたポートライオンズと叩き合いが200m近く続いたが、わずかに屈して2着に敗れた。

 5戦連続の騎乗となったマーフィー騎手は「スタートが良かったし、道中の手応えも良かった。負けてしまったという以外は、すべてがうまくいった」と無念の表情。橋田調教師は「ここで負けるとは思わなかった」と、ストレートに悔しさを表現した。「軽い馬場で前が残るから、前で競馬したいと話していた。最後はよく詰めているんだけど、少しだけ足りなかった。冬はあまり得意じゃないのでこれから調子を上げていってくれれば」と気持ちを切り替えた。今後はニューマーケットに戻り、凱旋門賞を大目標に調整していく予定だ。

 歴史的一戦を制したポートライオンズはバーレーン調教馬。昨年11月にアイルランドから移籍。5連勝でディアドラを撃破した。デフリース騎手は「使うたびに良くなっていた。走ったことのない距離だけが心配だったが、勝ててビックリ。日本の牝馬を負かせるとは思わなかった」と、信じられないといった表情を浮かべた。「正直、負けるとは思わなかったけど、勝った馬はバーレーンの馬だし、適性も高かったと思います」と振り返ったのは橋田助手。ゲートを出ずに大きく出遅れたが、同国の芝を導入した舞台でそのロスをはね返し、番狂わせを演じた。

ポートライオンズ

ポートライオンズとの直線での競り合いで敗れアタマ差の2着に終わった


武豊騎手も喜び爆発 アメリカでの経験が活きたフルフラット


 明らかに落胆を隠せない日本人メディアだったが、その暗いムードを日本人タッグが吹き飛ばした。6RサンバサウジダービーC(ダート1600m)のフルフラットは、大外枠から武豊騎手が促して好位へ。1頭だけ違う手応えで先頭に並びかけると、止まらない。差は詰まるどころかリードをさらに広げ、ミシュリフに2馬身1/4差をつけてゴールへ飛び込んだ。自身、そして日本馬のサウジアラビア初勝利に武豊騎手は右手の人差し指で「1」を作り、喜びを爆発させた。

フルフラット

レース直前のハプニングも何のそのサウジダービーを快勝したフルフラット


 日本が誇るレジェンドが、サウジアラビアで初勝利。「世界のホースマンが集まる舞台で本当に勝ちたいと思っていた。アメリカ(BCジュベナイル5着)でいい走りをした経験が生きた

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