《2歳》
●トーセンイヴ(牝 美浦・小笠倫弘 父トーセンファントム、母トーセンスマッシュ)
サウジアラビアロイヤルC(重賞)を勝ったブレイブスマッシュの全妹。母トーセンスマッシュの「トウカイテイオー×リアルシャダイ」は、マイルCS(GI)を勝ったトウカイポイントを筆頭に、アースシンボル、トウカイオスカー、トウカイアローなどコンスタントに活躍馬が誕生したニックス。トウカイテイオーの長く柔らかなツナギと、リアルシャダイの硬く立ったツナギがうまく中和したのではないか、という馬体的な根拠のある組み合わせだった。
父トーセンファントムは現役時代、新馬-オープン特別を連勝し、東京スポーツ杯2歳S(GIII)ではローズキングダムのアタマ差2着だったが、故障のため2歳時に早期引退した。種牡馬としては本馬の全兄ブレイブスマッシュを出しており、これが唯一の重賞勝ち馬となる。他に東京スポーツ杯2歳S(GIII)で5着となったハレルヤボーイを出している。芝向きのマイラーで、兄同様の活躍を期待したい。
●ワンモアナイン(牝 美浦・小桧山悟 父キズナ、母プロスペラスマム)
母プロスペラスマムは現役時代にJRA2勝。いずれもダートだったが、競走生活の晩年は芝を主戦場とするようになり、2勝クラスの中山芝1200mでクビ差2着という戦績がある。とはいえ、母の父マイネルセレクトはJBCスプリント(統一GI)などダート短距離重賞を5勝し、2代母の父コマンダーインチーフも芝よりダートのほうが良かったタイプなので、血統的にはパワー豊富。
父キズナは現時点で芝38勝、ダート20勝という成績だが、連対率を比較すると前者は19.2%、後者は24.1%とダートのほうが優れている。芝でもダートでも活躍できる奥の深さがキズナの大きなセールスポイントで、本馬も芝とダート、どちらでもやれそうな雰囲気だ。母方にダンシングブレーヴを持つ配合は2代父ディープインパクトのニックス。距離はマイル前後が良さそう。
《3歳》
●ダディーズメジャー(牡 栗東・杉山晴紀 父ダイワメジャー、母ケイティーズギフト)
4分の3兄ケイティープライド(父ディープインパクト)は函館記念(GIII)2着、チャレンジC(GIII)3着。半兄ダディーズマインド(父トーセンホマレボシ)はラジオNIKKEI賞(GIII)4着、という成績がある。これまで5頭のきょうだいのうち4頭が勝ち上がっているように母ケイティーズギフトは優れた繁殖成績を挙げている。
本馬の父はダイワメジャー。「ダイワメジャー×フレンチデピュティ」の組み合わせはダート向きに出る傾向があるが、本馬はヨーロッパの名牝ケイティーズ(84年愛1000ギニー-G1/英最優秀3歳牝馬)にさかのぼる芝向きの牝系に属しているので芝でもやれるだろう。1400〜1800mがベスト。
●マルカシュタルク(牡 栗東・今野貞一 父マルカシェンク、母ハッピーリクエスト)
母ハッピーリクエストは現役時代マーメイドS(GIII)5着などの成績がある活躍馬で、繁殖成績は優秀。これまでにミリオンディスク(父アフリート/09年カペラS-GIII、10年北海道スプリントC-JpnIII)、アムールポエジー(父ネオユニヴァース/13年関東オークス-JpnII)、リクエストソング(父シンボリクリスエス/09年きさらぎ賞-GIII・2着)などの活躍馬を産んでいる。
本馬は母が20歳時の仔で、父はマルカシェンク。現役時代にデイリー杯2歳S(GII)と関屋記念(GIII)を勝ったマイラーで、サンデーサイレンス産駒らしい切れ味を武器としたが、産駒はなぜかダートのほうが合っており、代表産駒のマルカウォーレンもダートで3勝クラスまで出世した。前述のとおり本馬の兄弟にはダート向きの仔が少なくないので、本馬がダート路線に進む可能性は大いにあるだろう。
●ララサンパティック(牝 美浦・大竹正博 父キンシャサノキセキ、母マザーズデイ)
母マザーズデイは現役時代にJRA未勝利に終わったが、その全兄にダッシャーゴーゴー(10年セントウルS-GII、11年オーシャンS-GIII、11年CBC賞-GIII)がいるほか、ダッシャーワン(OP)、サンライズネガノ(3勝クラス)、ビッグシャーク(3勝クラス)などコンスタントに活躍馬が出ている。2代母ネガノは繁殖牝馬としてきわめて能力が高い。Mr.ProspectorのスピードをRibot系の持続力で支えており、底力を帯びた優れたスピードを伝えている。
本馬は「キンシャサノキセキ×サクラバクシンオー」なのでモンドキャンノ(16年京王杯2歳S-GII)と同じ組み合わせ。母方にGraustark(またはその全弟His Majesty)を持つ配合は父の成功パターンだ。芝1200〜1400mで期待できるだろう。