成長株がそろい、出世の足がかりをつかむ馬を発見したい
そう歴史のある3歳牝馬重賞ではない。2006年キストゥヘヴン、2004年ダンスインザムードなどの桜花賞馬を送り出した時代もあるが、2歳戦が早まったことも関係し、クラシックに間に合わなかった遅咲きグループのこれからの出世レースに変わりつつある。桜花賞とは日程がきついため近年は結びつきが薄い。
2010年サンテミリオン、2005年シーザリオ、2002年スマイルトゥモローなど、どちらかといえばオークスで開花する馬が含まれると同時に、2018年3着のノームコア、2017年11着のデアレガーロ、2016年12着のヴィブロス、2014年5着のショウナンパンドラ…などが代表するように、やがてのオープン馬が出世の足がかりをつかむレースでもある。遅れて台頭の素質馬を発見したい。
最近3年ディープインパクト産駒が勝っているが、牝馬のレースは時の流れにことのほか敏感に反応する。今年はディープインパクト産駒1頭に対し、直仔キズナの初年度産駒が3頭も出走してきた。種牡馬キズナの3歳馬(初年度産駒)の世代別ランキングは、父ディープインパクトに次いで現在2位であり、後継種牡馬争いでライバルを大きくリードする形になっている。
牝馬向きのクロフネを母の父にもつショウナンハレルヤ(父キズナ)は、ファミリー全体の色彩が中距離系。マイルを3戦したあと、出世レースの1800mセントポーリア賞を好タイムで快勝。すんなり行けたこともあるが、1800mの方がずっと合っていた。2着アオイクレアトールは、日曜のスプリングSで伏兵の評価をされている。
クリスティ(父キズナ)の母ホワイトアルバムも、クロフネ産駒。こちらはクロフネ譲りの芦毛。1800m【2-1-0-0】が示すようにマイルよりは中距離向きで、天皇賞(春)のイングランディーレが代表する牝系はもともとスタミナがある。桜花賞ではなく、オークスを展望しての遠征と思われる。
成長株がそろって人気は割れるが、まだ1戦だけのトリンカデイラ(父Lope de Vegaロペデヴェガは仏ダービー馬。Giant's Causewayの孫)も、この先を見据えての関東への遠征だろう。新馬の時計は平凡でも狭いところを最後に割って出た勝負強さが光っていた。
ナリノクリスティー(父トゥザワールド)など侮れない馬は多いが、アブレイズ(父キズナ)の母エディンは、日本ダービー馬ジャングルポケット産駒で20戦5勝。5代母Korveyaコルヴェヤ(父Riverman)の一族は、世界に知られる名牝系であり、3代母リリオは仏2100mのG1リュパン賞のシーロの半姉。まだ1戦1勝だが、トリンカデイラと同様、将来性に期待しての2戦目の遠征となった。穴馬に加えたい。