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【高松宮記念】前哨戦のラップ的特徴から読み解ける、高松宮記念というレースの面白さ /岡村信将

  • 2020年03月27日(金) 18時00分

高松宮記念とリンクしやすい阪急杯好走のダイアトニック(c)netkeiba.com


 中京コース全面改修の2012年以降、高松宮記念は臨戦過程に注目すべきレースとなっています。単に前哨戦を勝った馬が高松宮記念で有利という話ではありません。それぞれの前哨戦にはそれぞれのラップ的特徴があり、それを元に高松宮記念を読み解く面白さを体感できる構成になっているのです。

1.シルクロードSで逃げずに好走した馬に注目

 シルクロードSは基本的に内の先行馬が有利なレースであり、“内枠からの4角先頭”が勝ち馬の基本形。この形でシルクロードSを好走した馬は、京都芝1200mコースの恩恵を大きく受けていると考えられ、次走への期待値は押し並べて低い傾向にあります。

 逆にシルクロードSを逃げずに“人気で好走できた馬”は、コース全面改修の2012年以降9頭すべてが高松宮記念で掲示板に載る(5着以内)好走。人気薄での一撃も見込めるだけに、今年これに該当するアウィルアウェイには注目しておきたいところですね。

■シルクロードSを逃げずに“人気で好走できた馬”の高松宮記念成績
2012年1番人気3着ロードカナロア
2013年6番人気5着ダッシャーゴーゴー
2013年2番人気2着ドリームバレンチノ
2014年1番人気3着ストレイトガール
2015年10番人気4着サドンストーム
2017年5番人気1着セイウンコウセイ
2018年2番人気1着ファインニードル
2019年1番人気4着ダノンスマッシュ
2019年11番人気5着ティーハーフ

2.オーシャンSは、人気で敗れた馬に注目

 ズブズブの消耗戦コース、数あるJRA1200m重賞の中でも1、2を争う厳しいラップになるオーシャンSは、基本的に高松宮記念にはまったく結びつきません。コース全面改修の2012年以降、オーシャンS勝ち馬の高松宮記念成績は下記のように散々なものとなっています。
2013年4番人気4着サクラゴスペル
2014年5番人気7着スマートオリオン
2015年12番人気8着サクラゴスペル
2016年5番人気5着エイシンブルズアイ
2017年3番人気10着メラグラーナ
2018年12番人気10着キングハート
2019年2番人気15着モズスーパーフレア
※2012年オーシャンS勝ち馬ワンカラットは、そのレースを最後に引退

 しかしオーシャンSで人気に推されるということは、“それ以前の短距離重賞”で強さを見せていたということ。むしろオーシャンSでは流れが合わず『人気を裏切ってしまった馬』にこそ注目すべきです。
→ダノンスマッシュとタワーオブロンドンの対照的な構図

3.阪急杯は、そのまま高松宮記念に直結する流れ

 阪急杯はラップ構成上、高松宮記念とリンクしやすい傾向にあります。高松宮記念が施行される中京芝1200mは、直線約413m。これは1200m戦が行われるコースとしては国内最長の直線距離です。ちなみに2番目に直線が長いのは新潟内回りの約359m、次いで阪神内回りの約357m。中山競馬場は310mで、中京芝の1200mだけが突出しているのです。

 こういった直線の長いコースはラップが緩みやすく、その結果 高松宮記念のラップは 他場の1200mコースよりも1400mコースに似た構成になる傾向。すなわち阪急杯を“人気で好走できる馬”は、そのまま高松宮記念でも通用する可能性が高いということになります。

 今年の阪急杯からは 勝ち馬のベストアクターが高松宮記念に参戦できず、小差2着(3着に降着)のダイアトニックに注目といったところでしょうか。しかしタイムで比較するなら、同じ阪神競馬場の芝1400mで行われた昨年末の阪神カップ、1分19秒4が脅威。計算上は1分20秒3のベストアクターとダイアトニックの『5馬身ほど先』にグランアレグリアが存在していることになるのです。

 ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んで 高松宮記念を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と考える、岡村信将の最終結論に ぜひご注目ください。


■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、 『ラップギア』 と 『瞬発指数』 を構築し、発表。2008年、単行本 『タイム理論の新革命・ラップギア』 の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。 『ラップギア』 は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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