▲母メイショウベルーガと、仔馬の頃は茶色だったメイショウテンゲン (提供:三嶋牧場)
長距離重賞で3戦連続掲示板と安定した成績で天皇賞・春に臨むメイショウテンゲン。母は重賞2勝のメイショウベルーガで、芦毛の馬体でロングスパートをかけるレースぶりは親子共通です。
しかし、仔馬時代は対照的な個性の強さを持っていたとか。そしてその個性はそのままレースぶりにも反映されています。親子ともに生産した三嶋牧場で、一族に深く携わってきた繁殖担当の芦田氏が見た2頭の仔馬時代とは。
(取材・構成:大恵陽子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
とねっこの頃から牡馬を蹴散らしていた母
――ステイヤーズS4着、ダイヤモンドS2着、阪神大賞典3着と、3000m以上の重賞で安定した成績を残すメイショウテンゲンが天皇賞・春に臨みます。お母さんのメイショウベルーガも三嶋牧場の生産馬。まずはお母さんの仔馬時代の様子から教えてください。
芦田氏 メイショウベルーガのお母さんのパパゴは日本に来てからずっと男の子を産んでいて、「女の子がほしいね」と話していたので、ベルーガが産まれた時は跡取りができて喜びました。
それまでベルーガの兄たちはおっとりした性格だったんですけど、ベルーガは勝ち気で。放牧地で他の男の子たちを蹴散らしていました(笑)。見栄えのするいい馬で、「いい線いきそうですよね」とみんなで話していました。
――現役時代は牡馬相手に重賞2勝を挙げたメイショウベルーガですが、仔馬の頃から男勝りな性格だったんですね。期待の1頭とあって、重賞初制覇となった日経新春杯(2010年)は喜びもひとしおだったのではないですか?
芦田氏 ウインズで泣いていました。ちょうどオーナーも北海道にお見えになっていて、みんなとウインズ静内(現在は閉鎖)で観戦していたんです。いま思うと恥ずかしいんですけどね(笑)。
三嶋牧場として、メイショウさんの馬でどうしても重賞を獲りたいっていう夢があったので。ベルーガに夢を叶えてもらったって牧場のみんなは思っているんじゃないでしょうか。
▲メイショウベルーガの重賞初制覇となった日経新春杯 (C)netkeiba.com
――しかし、天皇賞・秋(2011年)の3〜4コーナーで競走中止。勝負所でちょっと心配になる止まり方でした。
芦田氏 そのレースもちょうどウインズで見ていて、「あれ……」と思ったんですけど、すぐに現地から「(命は)大丈夫そう」と連絡をもらって安心しました。
――その後、繁殖牝馬になるために三嶋牧場に帰ってきたメイショウベルーガは、仔馬の頃と比べて雰囲気は変わっていましたか?