▲無観客が続き寂しい表情を見せる3月22日の中山競馬場(撮影:下野雄規)
新型コロナウイルスの感染拡大問題に伴う中央競馬の無観客施行が2月末に始まってから、4月26日で9週が経過した。期限を決めない形で始まった非常態勢の下、懸念された「無観客GI」は4週続き、見慣れた光景になってしまった。
「無観客」という大枠は同じでも、感染拡大が加速するとともに、施行のあり方も変わってきた。春から本格的に動き出すはずだった競走馬市場への影響も表面化している。現時点での影響を整理する。
「緊急事態宣言」後の非常態勢
前回もこの問題を扱ったが、その後の1カ月で最も大きな動きと言えば、政府が4月7日に緊急事態宣言を出したことである。同日の時点では首都圏4都県と大阪、兵庫、福岡が対象だったが、16日になって全国に拡大された。
スポーツ界にあっては、夏の東京五輪・パラリンピックの延期が3月24日に決定。プロ野球、Jリーグなども早々に止まり、ほとんどの競技が総崩れ状態で、緊急事態宣言の時点では公営競技が唯一、生き残った状況だった。
それだけに、対応が注目されたが、JRAは宣言翌日に8日に競馬開催続行を表明。併せて、18日の中山、阪神、福島3場から、騎手の節間(土日)移動制限、オープンと障害以外のいわゆる自ブロック限定出走、さらにはJRAが認めた場合、騎手が自宅やホテルから直接、競馬場入りするのを認める(認定調整ルーム)などの措置を取った。
自ブロック限定出走とは、従来も3歳未勝利と古馬1勝クラスに関して採られていたシステムで、美浦所属馬は東日本エリアのメーン開催場で、栗東所属馬は西日本のメーン開催場で優先出走させるものだった。ただし、自ブロックの馬だけでフルゲートが埋まらなければ遠征も可能だった。
今回の措置は人馬の移動自体を制限するのが目的であるため、枠の有無に関係なく出走できない。こうなると、