2競走の顔触れを見てみると…
北米で、無観客ながら開催が続いている数少ない競馬場の1つであるオークローンパークの、春開催最終日となる5月2日(土曜日)に組まれたG1アーカンソーダービー(d9F)が、2競走に分割されることになった。
ニューヨークも、ケンタッキーも、カリフォルニアもサラブレッドの競馬が止まっている中、もともとは4月11日(土曜日)に組まれていたものが、コロナ禍の影響で総賞金を100万ドルから75万ドルに減額したうえで、3週遅れで施行されることが決まっていたのがアーカンソーダービーである。
使えるレースがなくなってしまった有力3歳馬たちが、こぞってここに矛先を向けて来たため、4月16日に締め切られた第1次登録の段階では、なんと99頭もがエントリー。この段階で主催者は、第2次登録(4月26日)の段階で20頭以上が出走を表明した場合、レースを分割することを発表していたところ、実際に22頭が登録。総賞金をそれぞれ50万ドルずつにした上で、アーカンソーダービーを分割することを正式に決めたものだ。そして、それぞれのレースが、当初発表されていたものと同様のダービーポイント(1着100点、2着40点、3着20点、4着10点)が設定されることも、あわせて発表されている。
分割が決まって胸をなでおろしたのが、分割1の1番人気になることが予想されているシャーラタン(牡3、父スパイツタウン)の陣営だろう。アーカンソーダービーのフルゲートは14頭で、登録頭数がこれを超えた場合、収得賞金の多い順に出走枠に入ることになるのだが、重賞未出走のシャーラタンは現時点で67200ドルしか累積賞金がなく、分割にならなければ除外が濃厚だったのだ。
実を言えば先週後半の時点で、「間違いなく“出る”と表明している馬は17頭」という報道もあり、これが事実ならば分割にはならず、シャーラタンは除外の憂き目に遭うはずだった。だが、オークローンパークとしては、次世代のスターホースと目されるシャーラタンには出てもらいたいのが本音で、そもそも第一次登録を行った馬たちの中には、分割になるなら出走するとしていた陣営もあり、そうした関係者に改めて出走を促した結果、26日の段階で22頭が登録することになったものだ。
2競走の顔触れを見てみると、分割2の方に有力馬がより多く集まり、分割1はやや手薄の印象がある。分割1に廻ったシャーラタンについては、先週のこのコラムでも少し触れたが、今年2月16日にサンタアニタで行われたメイドン(d6F)を5.3/4馬身差で、続いて3月14日に同じくサンタアニタで行われた条件戦(d8F)を10.1/4馬身差で制した、「噂の逸材」である。
管理するのがケンタッキーダービー通算5勝の名将ボブ・バファートで、4月3日から5日に発売されたケンタッキーダービー・フューチャー・ウェイジャー・パート4で、居並ぶ実績馬たちを尻目に、個別の馬では1番人気に推されている。重賞初挑戦がいきなりG1になるわけだが、この馬がここでどんな競馬をするかは、必見と言えそうだ。
相手は、昨年10月にキーンランドで行われたG1ブリーダーズフューチュリティ(d8.5F)2着馬で、前走G1フロリダダービー(d9F)4着のグーヴァナーモリス(牡3、父コンスティテューション)、G1ブリーダーズCジュヴェナイル(d8.5F)2着馬で、休み明けだった前走G2リズンスターS・分割2(d9F)が1番人気を裏切り9着だったアノードーロ(牡3、父メダグリアドーロ)、G1BCジュヴェナイル3着馬で、同じく休み明けだった前走G2サンフェリペS(d8.5F)は5着に終わったウレッキングクルー(牡3、父スカイキングダム)、昨年9月にサラトガで行われたG1ホープフルS(d7F)勝ち馬で、前走オークローンパークの特別オークローンS(d9F)4着のベイシン(牡3、父リアムズマップ)らになりそうだ。
分割2で1番人気に推されるのは、シャーラタンと同じボブ・バファート厩舎のナダル(牡3、父ブレイム)だろう。この馬もデビューしたのは今年に入ってからで、サンタアニタでメイドン(d6.5F)、G2サンヴィセンテS(d7F)を連勝後、前走はオークローンパークのG2レベルS(d8.5F)を制し、無敗の3連勝を継続中だ。前走フェアグラウンズのG2ルイジアナダービー(d9F)を制し重賞初制覇のウェルズバイユー(牡3、父ルッキンアットラッキー)、前走タンパベイダウンズのG2タンパベイダービー(d8.5F)を4.3/4馬身差で制し重賞初制覇のキングギレルモ(牡3、父アンクルモー)、G1BCジュヴェナイル勝馬で、前走G2サンフェリペS(d8.5F)が3着だったストームザコート(牡3、父コートヴィジョン)らが、分割2で有力視される馬たちである。
今週土曜日に行われる、2つのアーカンソーダービーに日本の皆様もぜひご注目いただきたい。