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2020年度ホッカイドウ競馬開幕

  • 2020年04月29日(水) 18時00分

馬券売上は大健闘もファンの歓声あってこそ


 今年度のホッカイドウ競馬が4月15日より始まっている。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、当面は無観客での開催になる予定だ。

 開幕日と、その翌週の23日(木)と、二度門別競馬場を訪れた。今のところ、取材に関しては許可がもらえるので、何とか入場できる。ただし、当然のことだが、場内の一般エリアはほぼ無人で、時々、警備員の姿を見かけるだけである。

 開幕日は、テレビカメラが入り、周囲に誰もいない無人のパドックで出走馬が周回する様子を熱心に撮影していた。だが、取材陣は今のところ北海道在住者に限られており、本州方面から来場する人は見かけない。

生産地便り

無人のパドックを黙々と周回する各馬


 開幕日の15日は、第5Rで全国一早い2歳戦(認定)「フレッシュチャレンジ」競走が実施され、今年の2歳馬勝利第一号となったのは、2番人気のミッドナイトクロス。ダート1000mを1分3秒3で勝利した。このレースには8頭が出走し、1番人気のリターンギフトが先行する中を内からじわじわと追い上げ、2着馬に1馬身差をつけ2018年世代の初勝利を飾った。父トビーズコーナー、母ピンナップ、母の父スマートボーイという血統の牝馬。角川秀樹厩舎の管理馬で、桑村真明騎手が騎乗。生産・馬主は(有)新生ファーム。

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今年初の2歳の認定競走が実施された(写真提供:篠原美穂子)


 なお、この日、第8R「牡羊座特別」に、昨年の開幕日に行われた最初の2歳戦「スーパーフレッシュチャレンジ」競走を制したヨハネスボーイが出走してきた。ヨハネスボーイは昨年、夏に第13回ブリーダーズゴールドジュニアカップも制しており、その後、札幌競馬場(中央)にも遠征してクローバー賞2着、札幌2歳ステークス5着の実績を残している。今回は3歳になってからの初出走であった。

 だが、ヨハネスボーイは2番人気に支持されていたが、レースでは見せ場がないまま7頭立て6着に敗退した。このレースを制したのはビービーガニアン。父ビービーガルダン、母ビービープレジャー、母の父アラジ。林和弘厩舎の管理馬で井上俊彦騎手が騎乗。馬主は(有)坂東牧場、生産は(有)賀張三浦牧場。ビービーガニアンは12月〜3月まで南関に遠征し4戦2勝と好走しており、その分だけ臨戦体制が整っていたと言えそうだ。

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牡羊座特別を制したのはビービーガニアン


 23日は、ホッカイドウ競馬の重賞第一弾となる「第10回コスモバルク記念」(ゴールドシップ賞、1着賞金500万円)が行なわれた。開幕日も気温が上がらず冷え込んでいたが、この日もまた寒く、おまけにメインレース前には雪が降り、さすがに積るまでには至らなかったものの、じっとしていると震えてくるほどであった。幸いに1時間ほどで止んでくれたので助かったが、メインレース時の気温は1〜2度であっただろう。まだこの時期の北海道はこんな日もある。

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メインレース前に降り出した雪


 このレースには9頭が出走してきた。昨年の道営記念を制したリンノレジェンドに注目が集まったが、勝ったのは4番人気のドラゴンエアル。父タイムパラドックス、母シルクアウローラ、母の父クロフネという血統の牡9歳馬。

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得意距離で巻き返したドラゴンエアルがコスモバルク記念を制した


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コスモバルク記念口取りの様子


 田中淳司厩舎の管理馬で服部茂史騎手が騎乗。馬主は飯田正剛氏。新ひだか町(有)千代田牧場の生産馬。これで通算戦績が39戦10勝2着9回、獲得賞金は9693万円。レース後の口取りは、新たに検量室前に作られたウイナーズサークルで行ない、勝利騎手と調教師インタビューは、スタンド内にて、取材陣との距離を十分に取って実施された。無観客開催が続くうちはこの形式での取材になるのかも知れない。

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インタビューでは騎手・調教師と一定の距離を開けている


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コスモバルク記念を制した服部茂史騎手


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ドラゴンエアルを管理する田中淳司調教師


 4月15日と16日、そして、翌週の22日と23日の4日間で第1回開催が終了したことになるが、無観客ながら、馬券売り上げはかなり順調に推移している。4日間の合計は23億2222万円で、とりわけ浦和開催と重なった22日と23日は、それぞれ6億7343万円、8億306万円(千円以下切り捨て)と大健闘であった。

 ちなみに昨年同期の第1回門別開催は、4日間で13億7575万円。レース数と出走頭数は昨年が4日間で44レース383頭に対し、今年は42レース329頭と、明らかに今年の方が少ない。また今年は本場はもちろんのこと、全道16ヶ所ある場外施設での発売も見合わせているにもかかわらず、これだけ売れているのには驚かされる。

 ともかく、今のところ無観客開催による売り上げへの影響はなさそうだが、やはり、競馬はファンの歓声があってこそ盛り上がるスポーツで、一日も早い新型コロナウイルスの感染が終息することを願うのみだ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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