トニービン系の真価を発揮し勝ち切って不思議ない

　関東地方も梅雨入りして、今週は土曜、日曜ともに天気予報は芳しくない。雨と曇りの状態がつづき、先週までとは違ったタフな芝コンディションも予測される。少なくとも実質「稍重」程度の馬場は避けられないと考えたい。

　5歳サンレイポケット(父ジャングルポケット)は、脚部難で1年4カ月もの長い休養を経たあと4歳の秋から戦列に復帰。カムバック後は、距離2000m以上は5戦して【2-3-0-0】。前半は後方にひかえて進むが、2走前の中京2000mでは直線で再三進路を変更しながら、ゴール寸前一気に差し切った。

　直前に感冒のため取り消して格上がり初戦になった京都の下鴨S2000m(内回り)では、4コーナーを回って外に振られるシーンがあったが、外から猛然と突っ込んで2着。たちまちこのクラスでも通用の成長力を示している。

　今回は初コース、初距離、テン乗り…などさまざまな死角はあるが、左回りは「2、1、1着」。母アドマイヤパンチは、日経賞2500m、日経新春杯2400mを制したアドマイヤデウスの半姉。3代母アドマイヤラピスは重馬場のステイヤーズSの2着馬。

　ジャングルポケット(その父トニービン)産駒だけに、距離延長も、初の東京2400mも、少しタフな芝コンディションも、むしろ今まで以上に合う公算大。

　外に回って差す競馬も、2走前のように馬群に突っ込んで勝負強さを発揮することもできる。サトノラディウス、シルヴァーソニック(母の父トニービン)、ベイビーステップなど、このクラス突破が見えているライバルはいるが、前回と同じ55キロなら、速い脚が長続きするトニービン系の真価を発揮し勝ち切って不思議ない。

　父系の盛衰は避けることはできず、1994年の総合リーディングサイアーに輝いた種牡馬トニービンは、直仔の現役種牡馬は22歳ジャングルポケット1頭。その後継種牡馬もオウケンブルースリ(15歳)、トーセンジョーダン(14歳)。トニービン系はわずか3頭にまで減っている。サイアーラインの巻き返しまでは難しいかもしれないが、同じグレイソヴリンから広がる父系では、USAのUncle Moアンクルモー(その4代前がCaroカロ)が、ランキング上位種牡馬に再浮上して大活躍している。

　日曜の東京メインの「エプソムC」では、4歳ピースワンパラディ(父ジャングルポケット)も注目馬の1頭になっている。時計のかかりそうな芝も、長い直線の東京コースもトニービン系の歓迎する条件。合わせて期待したい。