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【函館SS/2勝クラス】目を奪われた岩田騎手の攻防&もっと見たい!“追われる福永”

  • 2020年06月25日(木) 18時00分
哲三の眼

函館スプリントステークスはダイアトニックが勝利(提供:デイリースポーツ)


今週の哲三の眼は、2つのレースをピックアップ! 1レース目は函館スプリントステークスから、3着ながらも一番目を奪われたというジョーマンデリンに騎乗した岩田康誠騎手のレース運びを、夏の重賞における自身の経験、騎手心理を交えて解説します。2レース目は日曜阪神12R(3歳以上2勝クラス)から、フォーテに騎乗した福永祐一騎手の逃げ切り勝ちを振り返ります。哲三氏が“祐一ファンの一人として”、福永騎手に望むこととは!?

(構成=赤見千尋)

結果3着も「岩田君、さすがやな」


 今週まず振り返りたいのは函館スプリントステークス。上位はそれぞれいいレースでしたが、その中でも3着だったジョーマンデリンに騎乗した岩田(康誠)君の騎乗に目が行きました。岩田君は広いコースはもちろん、小回りでの騎乗にも定評があります。今回は夏の小回りの特徴を活かしたレース運びだったなと。

 ジョーマンデリンは前走UHB杯で3勝クラスを勝っていて、今回が初めての重賞挑戦でした。夏に開催される重賞の中には、条件クラスから参戦出来るレースがあり、そういう条件も含めて、夏の北海道シリーズや小倉競馬場で騎乗する時、僕自身が気をつけていたいくつかのポイントをしっかり押さえているなという印象です。

 まずはスタート。小回りですから当然大事なポイントで、スタートの良しあしで着順が変わって来ます。岩田君はしっかりといいスタートを切って、その後の折り合いもついていたので「上手いな」と思いながら見ていました。

 さらに、一番の注目ポイントは4コーナー手前からの攻防です。2番人気だったライトオンキューが岩田君の内からすくって外に出たいというところ、しっかりと蓋をしていました。またその蓋をする角度が絶妙で。馬に当てて無理に押し込んでいるわけではなくて、自分の馬の角度を使って出られなくしている。この攻防は見ごたえがありましたし、3着だったけれど、ライトオンキューには負けませんでした。

 小回りで騎乗する時、こういうレースをしたいということと、こういうレースだけは絶対にしたくないという想いがあって。例えば内をすくわれないこと、マクりに動いたのに逃げている馬に残られること、などが挙げられます。心理としては、後ろから差されるのは仕方ないとして、スローに落として逃げている馬をマクりに行ったのに、マクり切れずに残られる、ということは絶対にイヤでした。

 今回のレースでいえば、内をすくわれない、ということ。ジョッキーはみんな気をつけていることですが、それを意識し過ぎて馬の走りが疎かになるのはもっての外じゃないですか。それを意識しつつ、馬が走れる態勢、走りやすい態勢で蓋をする。馬体を併せ過ぎずにしっかり蓋をしているところがすごいなと。結果的に3着でしたが、「岩田君、さすがやな」と感じました。

哲三の眼

内を意識しつつ、馬体を併せ過ぎずにしっかり蓋をしているところがすごい!(C)netkeiba.com


 競馬の中で勝つことはとても大事ですが、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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